スタッフの竹森です。
ついに、劇団「月のシナリオ」のロゴマークが完成しました!!
月のシナリオのロゴマークはこちら!!
「劇団 月のシナリオ」ができて、シナリオクラブは新しい一歩を踏み出そうとしています。
ただ、シナリオクラブは、いわゆる「劇団」と、色々な部分が違うのかもしれない。
ということで、色々と調べてみました。
・そもそも「劇団」とは何なのか?
まずは劇団の定義を調べてみました。
俳優を主体にして,そのほか演劇上演に必要な人々が集まり,上演という共通目的のためにそれぞれの職能において協力しながら,組織的かつ持続的に上演活動をおこなう団体のこと。
ざっくり言うと、俳優を中心に、演出家、脚本家、舞台監督、照明、音響、大道具、小道具などの人たちが集まった集団が劇団であり、
組織化され、制作部門を要したものが大規模劇団、それ以外が中小規模の劇団という扱いかなと。
ただ、劇団といっても、今は規模やシステムなどの形態は様々です。そのため、一纏めに「劇団だからこういうもの」とは言えなくなっています。
・シナリオクラブのシステムについて
シナリオクラブのシステムについて、僕の個人的な見解ですが
・演じたい作品に制限なし。(自分の好きな作品で大丈夫)
・役作りや演技に専念できる。(雑用を強制されない)
・習うためのハードルが低い。(初めての方でもOK)
・ワークショップとは違った、本格的なことができる。
・メンター陣が一流の舞台俳優。
あくまでも一例ですが、こんな感じかなと。とはいえ、あまり劇団を知らない僕が語っても仕方がない。
そこで、まず、アマチュアとプロの劇団を経験した役者さんに、システムについての話を聞いてみました。
・劇団とシナリオクラブの違い その1。 システムについて
プロとアマチュアの両方を経験してきたAさんに、シナリオクラブと劇団のシステムの違いについて聞きたいです。
そうですね。アマチュアの劇団だと、芝居の練習以外のことも結構やっていました。例えば、練習場所や公演場所の確保やチラシの作成、チケットの手売りなど。大道具、小道具づくりや衣裳制作、照明の準備も。公演で必要なことは、何から何まで、全部自分たちでやってました。
劇団の仲間たちは、得手不得手があるので、それぞれの役割を決めて担当する形で。
プロの劇団の時は、オーディションを経て入団して、最初の一年目は研究生として雑用係をやっていました。これって演技に関係ない・・と思えることもいっぱい。
まあ、結局はプロもアマも芝居だけじゃなくて、いろいろな雑務がありましたね。
純粋に演じることのみをやるのは難しいんですね・・
舞台の演技だけをする役者って、プロの劇団の中でも一握りの方じゃないかな。
普通は公演の準備のために大道具や舞台を作ったり、チケット捌いたりするからね。
一言でいうと、アマチュアは「本業の仕事があって、趣味で役者」ですが、プロは「本業が役者で、アルバイトなどが副業」という感じかな。
でもプロでやっていても、生活が厳しかったなあ。
生活が厳しいというのは?
所属してたプロ劇団は、役者が本業なので招集があったら絶対に出席しないといけない。
また公演期間中も当たり前ですが、絶対出席です。
そうなってくると、公演期間が一か月に及ぶ場合は、アルバイトを休まなきゃいけません。
でも、その公演の収入で食べていけるかというと、また別問題。なかなか、それでは生活できません。長期で休めるバイトを探したりしました。役者を本業にすると、食べていくのが大変だと思います。
芝居以外に雑務をやって、招集時や公演中は絶対に出席。その合間でアルバイトとなると、かなり大変ですね・・・
シナリオクラブは、演劇の教室だと思うけど、そういう意味で、芝居に気軽に取り組めるのがいいところだよね。
まず、ほとんどの雑務を行わなくて、芝居に専念できるのがいい。
セットを作ったり、準備したりする必要がないですからね。
僕も「プロの劇団に入ったら、芝居に専念できるはず」と思ったら、逆に雑務が増えましたから(笑)
芝居をやるためにプロになったのに、芝居の練習の時間を作るのが大変って、なかなか皮肉ですね・・・
演技についても、教えてもらうというより、見て盗む部分もありますからね・・・
シナリオクラブの話を聞くと、週に一度の練習を中心に組み立てているから、負担が大きくないのがいいよね。そして招集がかかるわけでもないし。
舞台や練習も、基本はダブルキャストなので、万が一欠けてもなんとかなる。
気軽に参加できるけど、真剣に取り組めるシステムでいいと思いますよ。
ありがとうございました!!
アマチュアもプロも、芝居を続けていくとなると厳しいんですね・・・。
演劇の世界の厳しさを垣間見ました・・・
・劇団とシナリオクラブの違い その2。 上演作品のジャンルや練習について
ここからは、メンターの角間さんに聞いてみました。
シナリオクラブと、一般的な劇団との違いを聞いてみたいのですが。
シナリオクラブの始まりは「読み合わせ」。そこから色々やりたい欲が出てきて、台本を覚えて芝居が始まって、今度はそれを人にみせたい。階段を一段ずつ上るように変化して、「劇団、月のシナリオ」ができたから、ほかの劇団とは違うよね。
一般的な劇団だと「こういう芝居をやりたい」「こういうものを伝えたい」といった色が存在するんですよ。劇団によって、コメディだったり、時事的なものだったり、思想があったり。
でも、階段を上がるようにステップアップした「劇団 月のシナリオ」は、そういった色がなくて自由。何をやってもいい。
そういうのってすごくいいよね。
そうなんですか!
すごく良い!!
だって、どの戯曲をどう上演してもいいんだもの。
色に染まっていないからこそ、何色にもなれる。ギリシャ悲劇、コメディ、思想的、何でもできる!!だから芝居の楽しさをじっくりと堪能できるよね!!
そしてみんなが自由にのびのびと楽しそうに稽古してる。ああいうのって、見てて羨ましいなぁって思うよ。
みなさん、本当に楽しそうに稽古してますね。
僕なんかは、怒られながら俳優していたから、やっぱり落ち込むことがあったよ。萎縮した時に、「負けるか!!」ってはねのけて芝居やってたけど、シナリオの皆さんは、のびのび楽しそうな感じで、いいなぁと思ってる。
そしてその中で、自由に芝居をやりながら、きちんと「観客に伝える」ことにも意識を置いているのがいいよね。
僕も養成所で「演劇は演者と演者の一対一ではなく、演者、観客、演者の三角形の形である。」って習ったんだ。
プロは観客にどう伝わるかを意識しなくちゃいけない。
アマチュアだと、演者と演者だけで完結していて、観客までの意識が、向いてないことがある。
でもシナリオクラブは、「観客にどう伝わるか」を含めて教えているからいいよね!!
これは、シナリオクラブが自然に「みんなに観てもらいたい」という形になったからなのかな。
そうだと思う!!
最初は読み合わせるところから始まって、最終的に「誰かに観てもらいたい」という形になったからこそ、「どう伝わるか?」を意識しているんだと思う!!
それはとても良いことなんだよね!!
「何かをやりたい」「表現したい」からスタートすると、時々「どう伝わるか?」を見落としてしまうこともあるからね。
あと、シナリオクラブのようにアマチュアとプロが混ざることって、とってもいいことなんだよね。
プロの我々もアマチュアから学ぶことがいっぱいある。
特にアマチュアの方から湧き出る、「その人が歩んできた人生のキャラ」って、プロでも真似できないものがあるんだよね。
すごく勉強になるよ!!
アマチュアの方には「アマチュアにしかできないもの」があるってことですね。
そうなんです!!
芝居って、上手くなるのは大切だけど、もっと重要なのが、自分をいかに出すか。
昔は、大きな声を出す役があったら、全員が同じ調子で大声を出す。誰がやっても全く同じ。でもそれじゃあ、心は動かない。
現在は、役の人が内面を作って表現する。
すると、大きな声を出すのは一緒だけど、十人十色で芝居がみんな全然違ってくるの。
自分を出すということは、「役というフィクションの中に、自分の内面をさらけだして表現すること」なんだけど、これが表現できれば、人は感動する。
もちろん、それだけじゃないけどね。
でも、プロとアマチュアが混じるシナリオクラブでは、アマチュアの方にしかできない芝居を見せてもらえるから勉強になるよ!!
深い話ですね・・・
あとは、練習方法かな。僕なんかは基本をきっちりやりたいとは思うんだけど、基本を100回やるより、実戦を1回やるほうが勉強になるよね。
実戦1回の中で「ああすればよかった」「こうすればよかった」を考えて考えて、咀嚼していくと勉強になるんだよね。
そういう意味では、舞台に立てて、実戦を積めるシナリオクラブはよいところだよね。
・劇団とシナリオクラブの違い その3。 練習頻度について
シナリオクラブの練習頻度が、週に1回のレッスンであるのが、ちょっともったいないよね。
週に1度のレッスンがもったいないというのは?
舞台稽古だと、ダメだしされた時に、忘れないうちにやりたい。言われたことを忘れないうちに身に着けたいんだよね。
一回やって、自分のセリフが出てこなかった部分を、「相手のセリフを聞きそこねたのかな?」「相手の芝居が違っていたか?」って自分の中でフィードバックして積み重ねていくんです。
シナリオクラブは、何度も同じ個所を稽古するけど、週に一回という部分がハンデでもあるよね。
稽古をたくさんやることが安心につながるからね。
劇団だと、30日みっちり稽古する。
でも週一回という頻度が、レッスンに通いやすいことに繋がってます。
そこはあるね。
確かに、商業演劇なんかだと、一か月の中で、同じシーンが8回程度だったりすることもあるからね。
そういう意味では、これも正解の一つかもしれない。
・劇団とシナリオクラブの違い その4。 みんなにチャンスがある
シナリオクラブは舞台に立ちたい人、台本を読みたい人、感情表現を習いたい人、それが全部共存できるのがいいところですよね。
浅利慶太さんが言っていたんですよ。「演劇は、ある人はずっと通行人かもしれないし、ある人は主役をずっとやっているかもしれません。平等じゃない世界が演劇の世界なんです。」って言ってたけど、その不平等な演劇の世界の中で、平等であるのがシナリオクラブなのかなぁと。
誰でも、手を挙げれば舞台に立てますからね。
みんなにチャンスがあるのがいいよね。
劇団って、演出家が「こうやりたい」って演出プランがあってスタートするので、やっぱり同じ傾向の人が役に選ばれていきますからね。
あとは、せっかくだから、もっと自由に、朗読でも演劇でも「シナリオクラブでしかできないこと」をやりたいですよね。
みんながそれぞれの個性を持って、型にはまらないのがシナリオクラブの面白さかなと思っています。
その自由さと情熱があるから、演劇をやりたい人の受け皿の一つになっているんじゃないかなって。
なるほど・・・
まとめ
シナリオクラブとプロアマ含む劇団の違いを聞いてみましたが
・芝居(演技)に専念できる。
・自由に参加できる。
・プロとアマが混じっているので、双方ともに学ぶ良い場所になっている。
・必ず役をもらえる。
・趣味と仕事の両立ができる。
・好きな作品作りができる。
という部分が大きな違いかなと思います。
最近ではワークショップという言葉が浸透して、芝居が以前よりも身近な存在になっています。
その中で、「本格的な芝居(劇団のように公演を行う)を趣味で楽しめる場所」にシナリオクラブ、そして「劇団 月のシナリオ」がなればいいなと思っています。
・あとがき。シナリオクラブのきっかけと歴史
そもそもシナリオクラブは、劇団を目指していたわけではありませんでした。
こちらのページにあるように、一人の女性スタッフが「病気のおじいさんの元気を取り戻すきっかけにしたい」と思って始めたのが、台本の読み合わせでした。
そして、2010年3月「演劇をもっと気軽に楽しみ、感動しながら、心も体も元気になる場をつくろう」というコンセプトでシナリオクラブがスタート。
少しずつ会員さんが増えていき、蜷川作品最多出演の清家栄一さんをはじめ、一流の舞台俳優の皆さんが、その技術を惜しげもなく伝授していき、年に一度の舞台公演を繰り返して、ひたすら経験と研鑽を重ねていった結果、アマチュアながら「劇団」となりました。
でも、「劇団 月のシナリオ」ができた後でも、シナリオクラブは、今までと変わらず、自由で楽しい場所でありたい。そして皆さんがそれぞれのかたちで 芝居の魅力を存分に味わえる場になればと思っています。