シナリオクラブ、第8回発表会
2016年7月17日(日)12:00~と、15:30~の2回、武蔵野芸能劇場において
シナリオクラブ Performance8 ――第8回発表会――
「さまざまな時代のおんなたち」
を開催いたしまして、たくさんのご来場をいただき、大盛況のうちに幕を閉じました!
まずは、ご来場いただいた皆さまと、ここまでご協力いただいた皆様に、心より感謝の意を表したいと思います。誠にありがとうございました!!!
劇場入りしたのはこの2日前の金曜日。この日、初めてこの劇場に立った方もいらっしゃいます。
金曜日、みんな集まったとき、「よし!がんばろう!」みたいな空気もありましたが、ここ1週間のうちに、足を怪我されたり、喉をやられて声が出なくなってしまったりした方もあって、正直「本番、大丈夫かな・・・」っていうのもありました(^^;)ので、スタッフは、安全を心がけて、気を引き締めていこう!と心に誓いました。
ここ数年、小道具が増えて、転換(運搬も)が年々大変になってきているのですが、そこは清家さん羽子田さんが、しっかり練習中のときから転換の稽古もつけてくださっていたので、とてもうまくいきました。
今回は、各回それぞれ5作品ずつの上演でしたが、同じ作品でもキャストが違うなど、全部で9チーム。それぞれの泣き笑いの3日間を、ちょっと振り返っていきたいと思います。
リーディング部門
「モラル」
開演時間前、幕の後ろに全員がスタンバイし、開演時間になると、軽快な音楽がかかり、清家さんが指定したタイミングで、サーーッと幕が開くと、そこから颯爽と全員が現われてご挨拶!場内からは拍手が起こりました!
上手下手にわかれて退場すると、そこには「モラル」の出演者だけが残っている。そして「モラル」スタート!!!
「モラル」とはいえ、モラルがない人たちのお話なんですが・・・。あり得ないセリフの応酬を、その役になりきってテンポよくかけ合って、劇場をグッと引きつけてくれました。
物語が終わり、舞台が暗転となったときに、会場から拍手が起こったのです!(プロの舞台とかでも「ハイ、ここ拍手するところですよ」ってならないと、なかなか幕間で自然に拍手は起こらないって羽子田さん)なにかもう、熱くこみ上げてくるものがありました。あたたかい観客の皆さまにも感謝です!
「メイキング」(演じる)部門。
「十三夜」
不意に里帰りしてきた娘との再会を喜んだのもつかの間、夫の仕打ちに耐えかねて、離縁したいと打ち明けられた。母は離縁は致し方ないと同情するが、父は「本当にそれでいいのか」と優しく諭す。しばらく三人で涙にくれた後、娘は家へ帰ることを決心する――
三人の息の合った自然な演技と、清家さん羽子田さんのチョイスした曲や、時折聞こえる秋の虫の音がマッチして、樋口一葉の世界観の情緒ある風情を見事に表現し、会場中を涙に包み込みました。
「横濱短篇ホテル[第1話]」
映画監督とプロデューサーが、ある横浜のホテルの一室で映画の打ち合わせをしていると、一人の若い女が、切迫した様子でドアをノックし助けを求めてきた。部屋に入れてあげて話をよくよく聞いてみると、ヤクザに追われているというのは真っ赤なウソで、あわよくばこの映画に出演しようとした女優志願の高校生が、一計を案じた芝居だった。
主演女優選びに難航していた映画監督は、何か演じてみせるように言うと、女子高生は一世一代の渾身の演技を披露する――
シナリオクラブでもよく読まれているこの「横濱短篇ホテル」ですが、このお3方のもともと持ってる演技力に、清家さん羽子田さんがうまく味付けをしてくれて、スリリングで、スタイリッシュ、かつエネルギッシュで、とってもカッコいい作品に仕上がっていました!
選曲は映画「Eyes Wide Shut」より。音楽はこの1曲だけでしたが、清家さんが選んだこの曲は、効果的でとても素敵でした。
「大つごもり」より『手文庫の中』
次は、また樋口一葉の世界に舞い戻り・・・。今ではない、少し前の時代。とある資産家の家に長女として生まれながら、父の後妻となった継母と折り合いが悪く、今はふらついている放蕩娘と、女中奉公している娘との、心温まるお話。
女中・みねは、早くに両親を亡くし、親代わりに育ててもらった伯父夫婦が、借金取りに追われ窮地に陥っていたことから、奉公先のこの家の後妻・あやに、給金の前借りを申し入れる。が、冷たく断られてしまう。
そこで、思案した末、自ら命を絶つことも覚悟して、手文庫の中のお金を必要な分だけ失敬してしまう。それを影から見ていた、一見遊び人風の長女・いしが、機転をきかせみねを助ける――
「十三夜」もでしたが、こちらの「手文庫の中」も、日本人の心にしみ入る物語です。健気な娘・みねを演じた、その健気っぷり、一見フラフラしているようで実は気風がよくて、粋ないしを演じた、そのカッコよさ、健気なみねに辛くあたる御新造・あやを演じた、その意地悪っぷり、思いやりあふれる伯母さん・しんを演じた、その優しさっぷり、いしの実の父親の、後妻に頭が上がらず、いしに手を焼く父親の葛藤っぷり、いしの腹違いの妹の、いい意味でのお嬢様っぷり・・・
どの役をとっても、その役になりきって、みねの涙とともに、会場全体がみねの心と重なった感じがすごく伝わってきました。それから・・・ちょっと書き残しておこうと思いますが、この作品の最中に、地震がありまして・・・後で震度3だったことがわかりましたが、まあまあ揺れまして、一瞬場内がザワっとなりました。しかし、演者さんがお芝居を続けてくださいまして、裏方も腹をくくって、続行することを決断いたしました。
アンケートでも、この演者さんたちへの称賛の声がたくさんありました。この演者さんたちの対応、熱のこもった演技に対して、この日いちばんの万雷の拍手が沸き起こったことを、ここにご報告いたします。
「トップ ガールズ[第1幕 第1場]」
とあるレストランの、とあるパーティのお話。キャリアウーマンのマーリーンが自分の昇進を祝うため、自らパーティを主催した。そこに招かれたのは、全員、過去あるいは架空の人物。しかも、各時代の最先端を生きた型破りな女性たちばかり。(解説によると、この場面はマーリーンの夢か妄想であるらしい)
19世紀、世界中を旅した、スコットランド生まれの実在の女性旅行家。鎌倉時代、天皇の側室だったが、後に尼となって日本中を旅した、実在の女性。ブリューゲルの絵に描かれた、地獄の悪魔と戦った女性。9世紀、男性を装って法王の座に就いていたとされるが、女性であることがバレて闇に葬り去られた者。チョーサーなどの作家に、夫の言葉にすべて従う、従順な妻として描かれた物語上の人物。しかし、これらの栄光や活躍の影には、女性として犠牲にしたものも多く、お酒が進むにつれ、ガールズトークはとどまるところを知らず――さらに、清家さんの演出で、ウェイトレスも一癖あって・・・
この作品のみどころその1は、誰かがしゃべっていても、一向おかまいなしに、自分の話をしだす、という、演劇の概念を超えているところ。まず、台本段階からビックリでした。あまり見たことのない記号が記されていて、「ここまでしゃべったら、もうここからしゃべり出す」みたいな記号で、同時に3人も4人もしゃべっていることもあります。
かつ、ディナーパーティなので、前菜からスープ、メイン、デザート、お酒まであって、それを食べたり飲んだりしながらそれを行なう、っていう。演技達者な会員さんが集まってましたが、最初は皆さん、本当にご苦労なさっていました。
本来、皆さま、人の話をよく聞く、優しくて真面目な方々です。誰かがしゃべり出すと、聞こうとしてしまう生理的本能が、とても難敵だったようです。でも、その難敵も攻略して、見事に皆さま、だいぶ変な人に変身してくれていました。
観ているぶんには、ホントに楽しくて、誰かと誰かを同時に見比べたり、ウワーってなったり、くすっとなったり、舞台中がみどころ満載で、素晴らしかったです!
みどころその2は、出演者の一人でもある会員さんが手作りした、このカラフルな衣裳たちです。この会員さん、この3カ月あまり、本当に寝る間も惜しんで作ってくださってたようです。独学でデザインを学び、練習の合間に採寸して、パターンを作り、生地を安く手に入れようといろいろお店をまわり、夜なべ仕事でミシンで縫い・・・毎週、1着ずつ仮縫いしてきた衣裳に、毎回、歓声があがるのですが、それをまた練習の合間に着てもらって、長さなどの微調整、そしてやっと完成・・・長い長い道のりでした。
だんだん、おやつれになっていくのをまわりでは心配してましたが、ご本人は「いったんやると決めたことだから」と、自分のことはいつも後回しにされ、ようやく本番1週間前に、すべての衣裳が出そろいました。1回だけではもったいないよね、ってことで、今、その衣裳たちはシナリオクラブにあります。着てみたい方、ぜひどうぞ!
さて、終盤の演出ですが、ここが最大のみどころでした。たいてい、レッスン終盤には、スタッフが音響係として、何回かお手伝いをいたします。このような劇場での発表会のときには本番はプロの音響さんをお願いするのですが、ミニ発表会のときなどは、そのままスタッフが音響を務めます。今回、このトップガールズは、最後の2回くらい、教室に入りました。まず、清家さんのヒラメキを目撃したのは、最後から2回目の時でした。ラストのセリフ直前、全員ストップモーションさせ、ラストセリフを言う人に、ストップモーションから動き始めながら、「お婆さんになれ」っておっしゃったのです!その会員さん、初めは「?」って感じだったのですが、清家さんがやってみせると、教室中が「うわーーー!!!」ってなりました。40歳くらいから、ほんのわずかの間に、100歳くらいのお婆さんにさせて、時空を超えさせようっていうんです!いやー、トリハダものでした!(説明が下手で、わかりにくいとは思いますが!)
目撃したのはそれだけではありません。次は、劇場入りしてからでした。清家さん、エンディングに向けて、何か足りないと思われたのでしょう。トップガールズ以外のキャスト全員を舞台に上がらせて、傍観者たちを配置することにしてしまったのです!
奥行き、広がりが出て、舞台の厚みが増して、大エンディングにふさわしい、ガツンとした味付けをされたのです!時空を超える演出が、これでまたさらにダイナミックになりました!なにか、こう・・・蜷川さんが舞い降りてきてくださったのかと思ったほどでした。蜷川さんの舞台って、登場人物全員に血が通っているというか、主役だけ輝いているのではなく、舞台のどこを切り取っても成立している、ダイナミックだけれども、きめ細かい演出が大好きだったのです。それを彷彿とさせ、演者さんたちの熱演もあって、もう目頭も胸も、熱くなって、こみ上げるものがありました。清家さんには、間違いなく蜷川さんの血が流れていると思えてきました。エンディングから、カーテンコール用の音楽が流れる頃には、観客席から盛大な拍手が起こりました。その拍手も、長く長く鳴りやまなくて・・・
キャスト全員、観客の皆さまとも、「みんなで創り上げた感」がすごくあって、本当に感動的でした。
そのような感じで、過去最高の観客数だった12時からの部は、地震というありがたくないミラクルも起こりつつ、なんとか乗り越え、こうして幕を閉じました。この場にいる全員を抱きしめたいくらい、愛しい愛しい時間でした。本当にありがとうございました。
(と、ホントはもっとこのままどっぷり浸っていたかったのですが、次の開場まであまり時間がなかったので、大急ぎで切り替えて、次の準備に移らせていただきました)
15:30からの部。
シナリオクラブの発表会通の方は、同じ作品でもキャストが代わると、また違った作品になる、っていうのをよくご存じで、1部も2部も両方観る、という方がだんだん増えてきました。清家さん羽子田さんは、その人の良さを引き出す演出をされるので、細かい心理的な解釈が異なっていたとしても、成立していればそれぞれ採用します。確かに、見比べると面白いですし、「こんな解釈があったんだ」という発見が多々ありますので、お時間のある方にはオススメです。
リーディング
「横濱短篇ホテル[第1話]」
リーディングでのこの作品は、シナリオクラブの教室で読み合わせている様子と、いちばん近い作品だったかもしれません。確かに、練習は重ねてきているので、初見で読むより、もちろん上手いです。ですが、基本「相手の声」を頼りに、その声に反応して自分のセリフを言う、リーディングはそこなのです。「ほう、そう来たか。では」「おっ!そうですか、ではでは」このようにセッションしているこの感覚、体験されてない方にはぜひ経験していただきたいのですが、それをいちばん上手に楽しんでいらっしゃるのが、このお3方ではないかと思ってます。
また、よい作品、面白い作品は、キャラクターの方から自分の方に入ってくる、というか、自然にその読み方になっていく、と思っております。そのような作品を、このお3方は、まさに「このように読むと楽しめます」と示してくださったような気がして、つまり、シナリオクラブの良さまで表現してくださったようで、感動とともに、誇らしさまでスタッフに与えてくださったと思いました。それはお客様にも伝わったのではないでしょうか。(と信じたい)
メイキング
「十三夜」(2チームめ)
この「十三夜」は、12時の部のお母さん役が違うだけなのですが、こちらもまたよいのです!お母さんの登場シーンで、「お前、まあ、よく・・・」という3つの言葉から成るセリフがあるのですが、「お前」も、「まあ」も、「よく」も、どのWordも、めったに会えない娘に会えた喜び、驚き、嬉しさ、優しさがあふれていて、本当に聞くのがいつも楽しみで、大好きでした。
男性会員が少ないシナリオクラブの貴重な戦力、このお父さん役の方は、これで3作品め。最終的に、次の「手文庫の中」まで出て、4つの作品に登場するという大活躍でした。毎回、どのクラスにも顔を出してくださって・・・途中、お疲れが出たのか体調を崩された時はヒヤッとしましたが。すべてお父さん役なのですが、どれも違って演じ分けていて素敵でした。自然で優しいセリフが、本当に泣かせるんです。お疲れさまでした、お父さん!舞台の袖にいたわたくしでしたが、ラストは会場からすすり泣きが聞こえてきて、思わずもらい泣きでした。
メイキングの「モラル」
まず特筆すべきは、さっきまで観客の涙を誘っていた「十三夜」の娘役だった方が、わずかの時間で早替えをして、今度はちょっとオカシイ人として再登場しているところでしょう!観客としては、おいおい、今の涙返してくれよ、ってツッコミたくなってしまったかもしれません(^^;
「モラル」といっても、モラルがない人たちを、4人で本当に生き生きと演じてくださったと思います。コメディのような、不条理のような、誰一人共感できないこのお話なのに、本当に皆さま、胸のすくくらいに振り切って、やり切ってくださって、心から爽やかな気持ちになれました。
「大つごもり」より『手文庫の中』(2チームめ)
いやー、こちらも泣けました!どの役の演じっぷりも、それはそれは見事だったのですが、同時に感動させるのは、普段から人生に真摯に向き合って、お仕事なり家庭のことなどもきちんとなさっている方々の、その身体を通して出て来るセリフたちの、なんと清々しいこと!シナリオクラブの発表会の素晴らしいところは、そのような会員さんたちの人生に対する向き合い方、言ってみればその生きざまが、透けて見えるところです。これは清家さん羽子田さんたちの演出力のおかげでもあり、ねらいでもあると思います。
アンケートにもありました。無料とは思えないほどだったと。本当にありがたいお言葉です。でも本当に、わたくしが言うのもなんですが、その向き合い方も、仕上がりも、その価値があったように思います。
さて、最後の作品は「トップ ガールズ」この作品だけが、同じ内容・同じキャストでした。なので、割愛いたしまして・・・
劇場入りからわずか3日間で、出演者たちはものすごい進化されました。普段の一会社員、一主婦だった会員さんたちが、観客に感動を与え、拍手喝さいを浴びる役者さんへと、変貌しました。やり切った表情とバックステージを、ちょっとお見せいたしましょう。
最後になりましたが、今回参加された方をはじめ、ご来場くださった皆さま、差し入れやお花をくださった方々、協賛してくださった皆さま、演出をしてくださった清家さん羽子田さん、それをお手伝いしてくださった角間さん、平尾さん、塾さん、高瀬さん、ほかのアドバイザーの皆さんも、いつも気にかけてくださって今回も観にきてくださった特別顧問の福島教授、受付や裏方の手伝いを買って出てくださった皆さん、武蔵野芸能劇場さん、毎回打ち上げにまで付き合ってくださるようになった舞台監督の高間さん音響の濱島さん、それから、天国から見守ってくださっていたであろう蜷川さん、ここに関わってくださったすべての方々に、心から、心から感謝申し上げます。
本当に本当にありがとうございましたーーー!!!
また次回、お会いいたしましょう!
See you again!