「長いセリフはどうやって覚えるの?」会員さんとメンターさんに聞いてみた

スタッフの竹森です。

9月17日にシナリオクラブの全体練習!総勢40名におよぶ出演者の方が、初めて全員で顔合わせしての稽古でした!

この全体練習、出演者が全員顔合わせという意味もあるんですが、初めて実際のサイズの舞台を想定して行ったり、暗転中の舞台のセットなど、本番を想定してのリハーサルなんです!ちなみに僕も参加しました!出演する側、スタッフの両方で!!

・全体練習について

リハーサルでは、「宇野イサム短編集」「海と日傘」という短編集と長編を初めから通して最後までやる事を2回行うので結構大変。一回の通しで約3時間。あわせると大体6時間ぶっ通しでめちゃんこハードでした!!

でも、皆さんあと一か月なのに、かなりの出来で仕上がってます!

「宇野イサム短編集」はとにかく笑えます!!僕が参加するのもこちらの短編です!!

軽快なテンポでポンポン進むけど、見ていて飽きない仕掛けもいっぱい!!

あまりネタバレなことは言えないのですが、短編と侮ることなかれ。色々なところがきちんと計算されていて、流石、演出担当清家さん・・・!!

一方で、長編は本当に泣ける。というかリハーサルの段階でボロボロ涙が・・・

テイストは全然違うかもしれないけど、アニメ版「この世界の片隅に」を見たときより泣けた・・・・。

全体練習の時、照明と撤収のスタッフとして手伝っているので、泣いてしまって作業ができないとか、洒落にならないので必死で泣くのこらえてました。

僕、決して涙腺が緩い人間じゃないと思うのですが、これ、本番で見たらボロボロに泣くんじゃないかと思う。

まだ公演まで一か月あるのに、短編、長編ともにこのクオリティの高さ・・・

10月28日の一日で公演が終わるのがもったいないなぁ・・・と。

・セリフはどうやって覚えているのか。

さて、仕上がりつつある大舞台ですが、毎年どんどんレベルアップしています。初期の大舞台はプロンプター(セリフが飛んだ時に次のセリフを言う人)がついていたのですが、最近はプロンプターがお役御免になっています。

すごいなぁと思いつつと疑問に思ったんです。長いセリフをどうやって覚えてるんだ??と。

皆さん「実は本番でも結構間違えてるんだけど、気づかれてないだけよ」とか、「まあ間違えてやってしまったなぁと思っても顔に出してないだけ」と笑いながら言ってました。いやいや、それってめちゃくちゃ高度でしょう・・・

セリフの覚え方についても色々聞いてみたのですが、気合の入れ方がガチなんですよ。今回は人それぞれのガチな方法を聞いて一覧にしてみました。

1.家中、あらゆるところに貼って覚えていく方法

台本のセリフを壁、タンス、食器棚と、あらゆるところに貼って、日常生活しながら暗記する方法だそうです。日々のお仕事や家事をしているときに復唱しつつも、忘れたら貼ってあるのを見て、次のセリフを思い出す、体に徹底的に叩き込む方法です。めちゃくちゃスパルタや・・・

2.PCに打ち込んでいく方法

なんと覚えた台本を何も見ずまるごとPCに打ち込んで、全部打ち込んだ後の文章と本来の台本と確認して照合する方法をやっている会員さんもいました!ちなみに全文字手書きで書き起こしている人もいる会員さんも。名優、仲代達矢さんも筆で書いて覚えているそうで、ほぼプロと同じことやってるじゃないですか・・・!!

3.台本を写メで撮って、頭の中で復唱する方法。

写真に撮ってそれを移動中などに見ながら覚える方法。台本要らずで電車通勤の時間でもできます!空き時間を有効活用!!ストイック・・・

4.動作と共に覚える方法

台本のセリフを言いながら、そこに動作を交えて覚える方法です。セリフだけだとどうしても覚えられない時、動作を交えると、セリフが飛んだ時でも動作で思い出せるらしい。場合によってはセリフが飛んでも口が覚えてくれるらしい。

5.自分で話したのを自分で聞くスタイル

セリフを録音して聞き直すスタイルで、自分のセリフを録音して聞き直す、相手のセリフを自分が言って録音して、頭の中で次のセリフを言うなどなど色々な応用をしているそうです。なんか一番効率がよさそう!だけど、大きな落とし穴があるそうで・・・

・声で聴くのは落とし穴がある。

メンターさんから話を聞いたところ、最初は声で聞き直して覚えるのはとても良いそうです。ところがある程度暗記出来てくると、大きな落とし穴があるそうです。

セリフの掛け合いは、一種のリズムみたいなものだそうです。自分で話したものを何度も聞きなおして、自分のセリフの掛け合いリズムを作ってしまうと、相手との掛け合いの時にリズムが崩れてしまうそうです。その結果としてセリフがいきなり飛んでしまったり、詰まってしまうとのこと。また、自分の録音したリズムでセリフが飛んでこないとなんだか違和感を感じるようになってしまう恐れもあるそうです。そのために稽古して、相手とリズムを合わせる事が必要なのかなと。

・メンターさんに聞く、俳優のセリフの覚え方

「俳優の場合、相手役がこの表情、この動作をしたからセリフを思い出すってことがあるんですよ。読み合わせしてた時の相手の動作、印象でセリフが出るときがあって、字面だけだと思い出すことに限界があるんです。」

ということで、覚えるという作業より、お互いの阿吽の呼吸でセリフを想起していくイメージなのかな。

「物理的に覚えようって覚えたセリフは、あくまでも覚えたセリフになっちゃう」とのこと。なるほど、難しい。

また、別のメンターさんの話では、書く、聞くのも重要だけど、声を出して覚えるのも重要とのこと。

「ただ声を出すだけだとあまり入っていかない。本気で声を出して、初めて自分の中にセリフが入ってくる。」ということでした。

・まとめ

会員さんがここまでストイックに覚えているのにはびっくりしました!!やっていることが本格的にやってる人とほとんど変わらない・・・!

僕も今回の舞台で、ほんの少しだけセリフがあるんですが、今回の全体練習のようにギャラリーがいると、そのセリフですら、飛びそうになりました。

でも、その中でセリフを「ただ覚えよう」として覚えるんじゃなく、相手との掛け合いが重要になってくる。それが演劇の持つチームワークなのですね。

セリフが出てこないのを察して、相手が助け舟を出したりすることもあり、その助け合いを「人間社会の縮図であり、助け合うことで成り立ってる」と言うメンターさんも居ました。

掛け合いや助け合い、支えあいがあるから、映画とが違って、毎回変わる生の舞台の魅力がそこにあるのかなと感じました・・!

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