スタッフの竹森です
11月2日は、アクタージュの4巻の発売日です。
前回解説した、舞台俳優編も途中まで収録されています!!
今まで、約3回にわたって舞台俳優の皆さんにアクタージュを解説してもらいました。
SNSで「読んでよかった!!」「プロの方の解説がありがたい」「本編と合わせて涙が出た」といった声を頂いて、めちゃくちゃうれしいし、書いた甲斐があります!!今日は本文では削ったちょっとした豆知識と、「なぜこのアクタージュを題材にブログを書こうと思ったか」という話になります。
本編では書けなかった、ちょっとしたよもやま話
本編に掲載できなかった、メンターさんから聞いた様々なよもやま話です。
北野武監督の独特な撮影方法
北野武監督は、メソッド演技などのリアルに感情を作る演技ではなく、かといって、ブレヒト演技とも違う独特の手法みたいです。
俳優に演技させるとき「数字を1から数えさせながら」という方法をやっていることもあるそうです。だから独特の表現方法に見えるんですよ。今度映画を見る機会があったら見てみると面白いですよ。
映像は素人のほうがいいものが取れたりする。
映画の話ですが、昔のピエル・パオロ・パゾリーニという監督は、完全な素人を使ってたらしいんです。なぜなら嘘がないから。素人のほうが、眉間にしわが寄る、満面の笑み、不愉快な顔、すべて動作がリアルなんですよ。でもセリフだけは言えないから、そのセリフをプロがアテレコしてたそうです。
そうすると、表情や動作がとてもリアルで、セリフがきっちり出てるいい作品ができるんです。最近の映画でも、いい演技するなぁと思ったら、一般の方で、演技じゃなくて素だった、というのもありますよ。
演劇は何故自分を操れないといけないのか
舞台の話ですが、毎日の公演で、同じものを最初から最後まできっちり見せるという事って超重要なことです。舞台って、一回公演して、終了というわけにはいきませんし、段取りがきっちり決まっているんですよ。だから役を深堀りして表現が進化するのはいいけど、毎回表現の仕方が違ってたら相手役もこまるし。チームプレーが大切ですね。
セリフが出るきっかけって、稽古の中で培った、相手役の動作、タイミング、間などの色んな要素があるんです。そのきっかけが突然変わったら混乱してしまいます。それ以外にも、生身ですから危険なシーンがあります。一歩段取りを間違えたら事故につながることがあります。そのため、感情に身を任せるんではなく演劇では自分を操る必要があるんです。
スターシステム型の舞台
スターシステム型の舞台は主役がいて、アンサンブルがいるピラミッドみたいな感じです。その中で主役が一番大切なのですよ。
主役をやっているときはアンサンブルは動いちゃダメな感じ。目立っちゃうからね。観客はスターを観に来ているので、スターを立てるんです。だからアンサンブルが目立つと怒られちゃいます。
ブログについて。
最初のきっかけ
もともと僕がブログ記事を書いているシナリオクラブは「プロの舞台俳優と共に共演し、演劇を楽しむカルチャー教室」です。僕は演劇に疎い人間だったんですが、ブログの記事を書くために、色々調べてました。その時に演劇の世界の大変さを目の当たりにしちゃったんですよね。
例えば、舞台などで観劇人口が減ってきていること。観劇年齢がどんどん上がってきていること。現状を目の当たりにして「なんとかならないかな」と思っていました。色々と調べると、演劇がもたらしてくれる良いことも、沢山あるのが分かりましたし。
「アクタージュ」との出会い
そんな2018年1月に、ジャンプの新連載「アクタージュ」と出会いました。アクタージュは、「バトルもの」「冒険もの」「スポーツもの」ではなく、演劇を題材にした珍しい漫画です。
新連載が始まったとき、「演劇を題材にした漫画をジャンプで連載してくれるなんて嬉しいなぁ!!」ってガチで思いました!演劇って、やっぱり一般の方には馴染みが薄い存在だから、「アクタージュ」みたいに演劇を身近にしてくれる漫画は全力で応援したいって思いました。だから、当時はせっせとはがきを出してました。その後、連載が進んで、舞台俳優編が始まったばかりでふと思ったんです。
「この漫画、舞台俳優さんに解説してもらったら、もっと面白く読めるんじゃないかな」
連載が進むごとに面白くなるアクタージュ。舞台俳優編が始まって面白さに磨きがかかりました。でも、演劇という題材だから途中で読まなくなった読者もいるんじゃないかなと、思いました。せっかく面白いこの漫画をもっと布教活動したい。どうすればいいんだろう。そういえば、シナリオクラブには、40年舞台に立ち続けているような人々がいる。彼らに読んでもらって話を聞いたら、僕みたいな素人の漫画レビューなんかではなく、ものすごい深い話が聞けるんじゃないかと思いました。
まあ要するに、シナリオクラブのブログを書くという理由のもとに、僕の独断によるものです。
単行本で広報活動
俳優の皆さんに意見を聞いてもらうとなったら、あとは行動するのみ。最初は清家さんと羽子田さんに渡して、読んだ感想を聞いたりしていました。
その時に「面白いねこれ!」って言ってくれたので、ほかの舞台俳優の方にも読んでもらったら面白いんじゃないかな、と思って、全員分購入しました。すでに書店にある単行本を1人1セットで全員分購入し、みんなに手渡して読んでもらうという、広報活動の開始です。吉祥寺の本屋さんを巡り、アクタージュを欠品させてしまったのを覚えています。なんだか申し訳なかった。
ただ、無理やり読んでもらっても作品の魅力は伝わらないので、あくまでも手渡しだけです。渡して読んでくれるかどうか分からなかった。それでも、みなさんがちゃんと読んでくれたのは、めっちゃうれしかった。
苦戦するインタビュー
皆さんに読んでもらった後、難しかったのがインタビューでした。
何を聞けば良いのか、色々と考えていたのですが、手間取ってしまいました。
作品の中で出てくる用語であったり、キャラクターの特性をわかりやすく解説してもらいながら、もっと作品そのものを掘り下げようと決めていました。夜凪景ちゃんのスタニスラフスキーシステムや、その欠点、千世子の技術力のすごさなどを含めて。
単行本に付箋をバリバリはってました。
インタビューで聞きたいことを探すため、単行本をおそらく20回以上は読み直していたので、途中で何を聞けばいいのかよくわからなくなったんですよね。読みまくったおかげで、自分ばっかり作品に詳しくなってしまい、客観的な目で見えなくなってしまった。
そこから考え方をリセットするのは、めちゃくちゃ苦労しました。どのあたりが分からない部分だろうかと何度も考えました。
そうやって、出来上がったのが、映画編までのブログです。
また、ジャンプの画像は、許可がなければ使わないようにしよう思っていました。いくら作品への愛があろうと、公式だけには絶対に迷惑をかけたくないという思っていました。
でも、画像があれば、さらに魅力を伝えれるのではないかと思って、編集の村越様に連絡をしてみました。
全力を出した舞台俳優編。
画像使用は絶対にダメだろうなと思っていたら、編集の村越様から、まさかの「一回限りなら許諾OK」という返事をいただき、めちゃくちゃうれしかったのを覚えています。
一回限りなら、魂を込めて最高の出来にしよう。
ここから、舞台俳優編の記事の作成が始まります。
舞台俳優編は、まだ単行本として出版されていない回だったので、メンターさんにスマホアプリの「ジャンプ+」をダウンロードしてもらい、過去の電子版週刊少年ジャンプを購入してもらいました。そこから最新話まで見てもらいました。
皆さんに見てもらった後、何度も何度もメンターさんと話し合い、色々な舞台俳優編についての話、登場人物が現実に居たらどうするか。という話をして、色々な事を掘り下げてもらいました。
当時、メンターの皆さんはシナリオクラブの舞台公演を控えている中で、めちゃくちゃ多忙でした。にも拘わらず、一週間以上にわたってインタビューに協力してもらいました。本当にメンターの皆さん、ありがとうございます・・。
そして、インタビューしためちゃくちゃ濃い内容の中の「いい話だけど、本筋からずれてしまう」「すごい貴重な話だけど、関係から遠ざかってしまう」といった話を泣く泣く削り、形にして仕上げたのが舞台俳優編です。
最後に
僕はアクタージュがめちゃくちゃ好きなので、僕の想いだけでブログを書いています。今のところ怒られていないので、これからも書き続けます。理由は単純で、より多くの人にアクタージュを知ってもらいたい、読んでもらいたい。そして演劇というものをもっと身近な存在に感じてほしいからです。
なので、言いたいことは一つ。11月2日(金)にアクタージュ4巻が出るからみんな買おう!!