緊急事態宣言が解除され、町に人が戻ってきました。
少しずつだけど、以前の活気が戻りつつあります。
そして、コロナ後の新しい様式が始まりました。
コロナが与えた演劇への影響
演劇業界は今どうなっているのか。
6月に入り、緊急事態宣言が解除されていき、厳密な劇場ガイドラインに則り、公演準備を始める団体も続々と出てきました。
世の中にはzoom演劇というジャンルができ、演劇の新しい風が吹き始めています。
「カメラを止めるな リモート大作戦」をはじめ、zoomを使った様々な演劇がバズり、zoom演劇が一つのジャンルとして確立されてきています。
ダルい上司の打ち合わせ回避する方法考えた。#ZOOM演劇 #劇団ノーミーツ#StayHome pic.twitter.com/5XS45v5tjk
— 劇団ノーミーツ (@gekidan_nomeets) April 26, 2020
しかし、舞台は違った。劇団四季などは、いまだに公演中止だし、公演ができるようになったとはいえ、劇場には厳しいガイドラインがあります。
劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」ロビー、客席、楽屋、舞台上など、あらゆる状況に対する細かなコロナ対策
今回のガイドラインでは、これまでにも各上演団体が行ってきた、劇場内の消毒・換気、マスク着用、検温などの対策に加え、現金の取扱いをできるだけ減らすためのオンライン販売やキャッシュレス決済の推奨や、物販・トイレなどの列の間隔を1メートル(できるだけ2メートルを目安)とし密接を避けるための工夫などといった具体的な対応策がセクション別に示されている。
舞台公演ができたとしても、劇場のキャパシティが基本的に半分以下になっているので、公演を延期や中止する団体も少なくない。
そして我々も参加した、伝統ある池袋演劇祭は中止になってしまいました。
いずれはコロナ対策が徹底されて状況が改善されると思いますが、現状はこんな感じです。
けれど、仮に最大まで客席が使えるとしても、客足が伸びてV字回復することは難しいのではないかと。
何故なら、コロナは僕らの意識を変えてしまいました。
・通勤時の他人との距離が気になる。
・外出時、自分が何に触れたかが気になる。
・昔のテレビドラマで「バイキング食事をする」という一場面でさえ、気になる。
今まで気にならなかったものに、僕は過敏に反応しているのを感じた。人と人の接触に過敏になる人は、きっともっとたくさんいると思う。
舞台を観に行く、劇場で鑑賞することがある限り、何らかの形で誰かと接触するだろうし、100%の安心することはできないのです。
舞台は感染症と相性が悪すぎるのです。
現状は劇場のキャパシティを考えないといけない
安全管理が徹底されてお客さんがたくさん来ても、今度は劇場のキャパシティの限界の問題があります。
ガイドラインでは、ソーシャルディスタンスを守るため一席ごとに空席を設ける+最前列丸空きとなっています。
つまり、劇場本来のキャパシティの半分以下です。
以前、ソーシャルディスタンスを守るとこれで満席だ、と物議を醸した画像があるが、この状況を笑えなくなってしまったのです。
引用:ガラガラだけど「これで満席」 ある劇場の“問いかけ”に反響
そして舞台は、チケット代金+グッズの売り上げがそのまま収益に直結。
単純に見るお客様が少なければ、買うお客様も減ってしまうのです。
今までも公演するなら赤字覚悟だったのに、今回からは大借金する覚悟でやれと言われているようなものです。地獄か。
経済が死んでしまうと、演劇そのものがヤバイ。
演劇の著名人の方が、「演劇は文化」「文化の灯を絶やさないように」と言っていましたが、演者側が演劇をどれだけ「崇高」「アート」「文化」的なものと思っていても、判断するのは観客側です。観客側がエンタメや娯楽と思っていれば、演劇はエンタメや娯楽という認識なのです。
では舞台を「エンタメ」や「娯楽」と考えるとどうなるのか。
現在は、コロナウィルスによりサービス業を中心とした経済がメタメタです。
世界中で大恐慌が起きています。始まるとかじゃなくて現在進行形。
企業は次々と倒産していくし、人はどんどん職を失うかもしれない。これが年単位で続いてしまう・・・。
そんな生きていくのがギリギリの世の中に「よっし舞台観に行こうか!!」「グッズ買ったろ!!」みたいな人達が、コロナ以前と同じ水準まで戻るのは、かなり厳しいと思います。
むしろガクンと減るのではないかと。
もしそうなら、今までと同じことをやっていても、人々に余裕がなければ消費はされません。本当に演劇はヤバイ。
変革すべき時がとうとうやってきた。
コロナ以前にいつ戻るかと言われたら、きっと年単位経たないと無理じゃないかなと思っています。
意識の変革、安全の確保、やらなければいけないことは山積みですし。
正直な話、悠長に年単位で待てないし、そんなに待ってたらいくつもの劇団が解散していくし、劇場だって閉鎖されてしまいます。
俳優だけでなく、舞台監督、照明、音響さんをはじめとした裏方だって、現在死ぬほどキツイ・・・。
下手すれば舞台がここ数年でなくなってしまうかもしれない。
アフターコロナ後の世界線は、舞台オンリーではたぶん生きていけないんじゃないか・・・。
たとえコロナが完全終息したとしても、コロナと同じ別の感染症が流行ったら堂々巡りの繰り返しが起きますから・・・。
「生で見る」が最大のウリだった舞台は、変革するときが来た。
今まで、代替手段を考えなかったツケがとうとうやってきたのではないかと思います。
今は手探りで進むしかありません。現状を見て見ぬふりをしていると八方ふさがりになってしまうのかもしれない。
明確な方法は分かりません・・・。配信かもしれない。VRかもしれない。もっと違う手法かもしれない。
とにかく何でも試して打開策を見つける期間ではないかなと思っています。
余談ですが、シナリオクラブでは、70代でスマホが全く分からない方と一緒に手探りでオンラインレッスンを始めました。
その方が今ではzoomを使いこなしてオンラインレッスンを受講しています。
何も分からなかった70代の方が手探りでここまでできるのだから、僕らが「無理だ」「できない」と理由をつけてあきらめてはいけないのではないかと思っています。