座・高円寺公演「愛さずにはいられない」お疲れさまでした!!!

5月23日、今年も昨年に引き続き、「座・高円寺2」で劇団 月のシナリオ の公演を行ないました。

タイトルは「愛さずには いられない」(主催・シナリオクラブ公演部)。

結論から申し上げますと、史上最高に熱くてオシャレな舞台になりましたー!!!

このような時期にご来場くださいました皆々さま、関係者各位様、本当にありがとうございました!!!

さて、今回の構成やキャスティングは、羽子田洋子さんでした。

女性セレクトらしく、一人ひとりきめ細かくテーマを背負ったキャスティング重視の作品選びでした。

それぞれにテーマを追求して俄然、情熱を燃やして稽古は始まっていきました。

構成は、チェーホフの「三人姉妹」と「桜の園」が交互に展開していくものでした。

どちらも、貴族階級たちは没落しつつあるのに、その状況を受け入れられず、一方、成り上がり者たちは生命力にあふれ、貴族階級たちを踏み越えていく。

当事者にとっては悲劇だけど、客観的には滑稽に映るザ・チェーホフ。

「三人姉妹」は前後編に分け、さらに「海チーム」「虹チーム」にチーム分けして構成されました。

それを演出するのは、この方、清家栄一さん。選曲も演出も、エッジの効いた、泥臭くもあり、かつ洗練された舞台に今回もしれくれました。今回はさらに、“モテ男“ヴェルシーニンでの出演も!

羽子田さんも途中から、“モンスター嫁”ナターシャで出演することになり、作品のグレードをガッと押し上げてくださいました。

さて、まずは、写真で振り返ってまいりましょう。

まずは「海チーム」から。

「三人姉妹(前半)」ヴェルシーニンの話に聞き入る、イリーナとオーリガ。

「三人姉妹(前半)」物思いに耽るマーシャ。

「三人姉妹(前半)」イリーナに一途な男、トゥーゼンバッハ。

「三人姉妹(前半)」ナターシャのことを好きでたまらない、アンドレイ。

「三人姉妹(前後半)」お茶目なアンフィーサ。

「桜の園」のアーニャとワーリャ。

「三人姉妹(前半)」4人のマーシャと愛し合う、清家ヴェルシーニン。

「桜の園」ロパーヒンの忠告を聞く気がない、アーニャとラネーフスカヤ。

「三人姉妹(後半)」の幕開けは、町じゅうが大火事。

「三人姉妹」(後半)」清家ヴェルシーニンと愛し合う、2人めのマーシャ。

「桜の園」ロパーヒン、魂の叫び。

「桜の園」最終場、母・ラネーフスカヤとともに、新たな地へ旅立とうとするアーニャ。

「三人姉妹(後半)」”モンスター”ナターシャに気圧される三人姉妹たち。

「三人姉妹(後半)」最終場、達観Maxな三人姉妹たち。

続いて、「虹チーム」。

「三人姉妹(前半)」今日は頭痛がしない、オーリガ。

「三人姉妹(前半)」ヴェルシーニンに目がハートな、イリーナとマーシャ。

「三人姉妹(前半)」暗雲が立ち込める前の、プローゾロフ家4兄弟。

「三人姉妹(前半)」まだ“モンスター”になる前の、可愛い羽子田ナターシャ。

「桜の園」アーニャとワーリャ。

「桜の園」バイタリティ溢れる、成り上がり者のロパーヒン。

「桜の園(前半)」ヴェルシーニンと恋に落ちる、3人めのマーシャ。

「三人姉妹(前後半)」イリーナに一途なのに報われない、切なき男、トゥーゼンバッハ。

「三人姉妹(前半)」無理っ! 怖っ! イリーナに迫ってくるナターシャ。

「三人姉妹(後半)」かなりの“モンスター”に仕上がっているナターシャと、追い詰められるオーリガ。

「三人姉妹(後半)」お互い心を許せるのは姉妹だけ。イリーナとマーシャ。

「桜の園」最終場。土地を失い、絶望の淵に沈みそうなラネーフスカヤ。

「三人姉妹(後半)」マーシャ、ヴェルシーニンとの別れ。激しめの抱擁。

カーテンコール(の練習)。

カーテンコール(の練習)、その2。

いかがでしたでしょうか。

自分たちで言うのも何ですが、なかなか写真映えする舞台だったなあ、と(笑)

というのも、前回(「燃える嘘、燃えない嘘」)に引き続き、照明デザインをしてくれた、阿部さんの手腕によるところが非常に大きかったです。

例えば、「三人姉妹」の1幕は室内で、窓から光が降り注ぐのを、2幕は夜でロウソクの灯が引き立つように、3幕は火事のシーンをエモーショナルに、4幕は屋外で、これまた木漏れ日を作ってくれてました。

「桜の園」の木漏れ日は、「三人姉妹」とは違って、果樹園の木漏れ日でした! 映え~。

音響の角丸さんも、前回に引き続き。

清家さんの求める音を瞬時に察知してくれて、すぐに用意してくれたり、音の終わり方も反響させてくれたり、余韻を足してくれたり、音の出る位置とかによってスピーカーの位置を変えてくれてたり、あと音の入れ方とか、大きさとか、本当にプロでした!

当たり前と言えば当たり前なんですが。普段、音響やってる立場からすると、やっぱりプロってスゴイな、と(^^ゞ

ついでにスタッフ繋がりで言いますと、この舞台の成功は、舞台監督の白石英輔氏の手腕あってこそ。でした。

全体練習をできない=場面転換の練習がほとんどできていなかった、という危機的状況を救ってくれたのは、紛れもなく白井氏のおかげでした。これまでも大劇場で、大人数のスタッフを束ねてきた手腕がいなんなく発揮され…というか、安全を第一としながら、それこそきめ細かく、舞台や出演者を影となり支えてくれたのです。有能な片腕、鈴木氏も。

舞台稽古、リハーサルをやればやるほど出てくる課題(^^;)、それを一つひとつクリアしていってくれました。書ききれませんが。笑

舞台におけるプロがいるこの、絶対的信頼感!!! いろいろ勉強になりました。

と、スタッフを絶賛したところで、出演者の方に目を向けますと、1回1回、大きな舞台を経験するごとに、やはり段々と実力はついてくるものだなあと、心から思います。

演技そのものもそうなのですが、舞台で存在すること、そのものが!

若さって、怖いもの知らずで、勢いで経験値を補うから、それはそれで好きです。尊いです。

でも、シナリオクラブの、というか劇団 月のシナリオのメンバーは、人生の経験値をたくさん持ってる人が多いので、そこに何というか「深み」が出ていることは間違いないと思います。

人は嘘をつかれることは、誰しも嫌いだと思いますが、月のシナリオの舞台は、演技だけど決して「嘘」ではないところが、いいなあっていつも思ってます。

正直、今回は例えば「三人姉妹」の姉妹は、全員20歳代からスタートしますので、実年齢とはかなり開きがあるケースもありました(^^;)

ですが、変に年齢の見た目にこだわり過ぎたりせず、「心」を役に近づけていくキャストの皆さんは、本当に潔くてカッコいい! 清々しい! と思った次第です。

本当にそこにオーリガがいたし、マーシャ、イリーナもいて、本当に姉妹のように思い合い、いたわり合っていたし、それはもちろん「桜の園」もそうで、ラネーフスカヤ、ワーリャ、アーニャは、本当に母娘だったし、もっと言えば、ワーリャは血は繋がってないから、一歩引いてるけど、それでも母娘以上の関係性も見えてきましたし。

この「姉妹」と「母娘」の関係性が基盤となっているからこそ、ナターシャやロパーヒンの異物感的存在が引き立って、まただからこそ、ヴェルシーニン、トゥーゼンバッハとの別れが切なかったです。

トゥーゼンバッハ、なぜモテないんだろう(^^;)

一家の期待の星(だった)、アンドレイ。だんだんと希望が薄れて輝きが失われていく様子がリアル。優しいんですよね、育ちがよくて心根が優しいから、生存競争に勝てなかったのかな。せつない、せつなかったよ、お兄ちゃん。

あと、アンフィーサ。御年80歳の使用人なんですが、ただの使用人ではなく、ちゃんと戯曲のなかにアンフィーサの人生のバックボーンみたいなものも描かれていて、カタルシスもあって、チェーホフすごい!ってなった訳ですが、そこにさらに茶目っ気を足して演じ切ってましたので、アンケートでもアンフィーサ大人気でしたね。

振り返りますと、ゴールデンウィーク突入前の4月27日、まさかの緊急事態宣言が発令されてしまいました。

公演の1カ月前を目途に、広い場所を借りて、全体練習(実寸稽古)を行なうはずでした。

普段の稽古はソーシャルディスタンスで、少人数ずつで行なっていたため、大詰めを迎えるにあたり、場面転換やつなぎの練習、はたまた音響さん照明さんとの打ち合わせ兼ねた稽古、できないじゃん、どうしよう…。

ていうより、多くの商業施設が休業要請されるなか、もしこの宣言が延長になって、座・高円寺が休館になってしまったらどうしよう…。今だから言えますが、本当に不安でいっぱいでした。

結局、劇場の方は制限が緩和されて、無事上演することができましたが、中止を余儀なくされた公演もあったことを思うと、幸運を喜んでばかりもいられませんが、有り難いことと思わずにはいられませんでした。

20数名の出演者たちも、それぞれの事情を抱えていました。実は家族からは反対されています、とか、職場には内緒にしてます、とかっていう人もいました。

それでも、ここまで積み重ねてきたものを舞台で、という強い想いが背中を押しているようでした。これまでのメンバーの中で、いちばん頼もしい座組に思えました。

真摯に芝居に向き合う。それがシナリオクラブ流だし、それが実際この期間、我々を支えていたものだったような気もします。

思えば、緊急事態宣言のさなか、全体練習をするはずだった日に、オンライン全体練習(通し稽古)をやりました。全員参加して、教室でやるのと変わらない熱量で、いやそれ以上の熱量で、「今やるべきことをやるんだ」という姿勢で稽古に励む姿。泣けました。

素晴らしい劇場で、心強いスタッフのもと、こうして上演できたことは本当によかった、素晴らしい、と心から思います。ですが、この期間、この難局を乗り切った出演者たちの奮闘は、心底称えたいと思いますし、勇気もたくさんもらいました。本当に誇らしいです。

お客様への感謝の気持ちも、倍増でした。

いつも温かい応援ありがとうございます。ゆっくりご挨拶できるご時世ではありませんので、この場を借りて、深い深い感謝の気持ちを伝えることができればと思います。

本当にありがとうございました!!!

またお会いいたしましょう!!!

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