映画館のこのアイデアは大好きだけども、舞台では難しいのかも・・・?(画像はねとらぼさんから)

ねとらぼさんで見つけた映画館の記事

映画館の新しいコロナ対策、パーテーション付きシートが快適だった! イオンシネマの新座席を体験リポート

これはすごい!!

一席当たりのパーソナルスペースが広いし、荷物置き場所もあるし、コロナ対策もばっちりです。

舞台もこんなシートがあれば最高!!

と考えていたんですが、よくよく考えたら席の広さ的に、前後左右に席を空ける現状の市松模様席とパーソナルスペースは同じじゃないのかなと。

画像:東京都内の映画館、きょう営業再開 ファン駆けつけ“満席”

というわけで、今日の話はこういった対策を映画が取れてて、舞台が取れない理由のお話。

舞台の現状について

いきなり結論ですが、舞台でも似た対策を行っています。

現在の舞台客席のスペースは、最前列空け+前後左右開けの市松模様で配置。(劇場にもよりますが)

観劇に行った方からするとこの席の空け方について非常に快適らしく、この配置に慣れてしまうと前にもどれないといった意見をききます。

・前を塞がないので良く見える

・左右の人とぶつからないので快適

といったことが主な理由らしい。

劇場側から見ると、キャパシティが半分になり、収益が激減するのでキツイのですが、観客側からすると快適な状態。

 

いっそ、それを逆手に取り、イオンシネマさんのように一席を拡張して、パーティションをつけて・・・までやったらほぼ同じことができるのではないかと。でもあんまり話題になってないよね。何故だろう?

(イオンシネマさんも相当計算してこの席を作っていると思うので、一朝一夕に真似はできないと思いますが)

前置き①舞台の収益

映画館の収益は売店頼りって本当? 『鬼滅の刃』驚異的大ヒットを機に再確認したい映画館の意義

一般的にシネコンの座席稼働率の損益分岐点は、15%前後と言われています。つまり例えば300席の劇場で、45人しか入っていなかったら、まったくガラガラで「この映画館大丈夫かしら」とふつう心配になります。しかし、一応これでもギリギリでやっていける計算なのです。年間を通しての平均値でということですが。

上記の記事にもあるように、映画館はチケット代金だけではなく、フードやドリンクがかなりの収益の助けになっています。

ちなみにお子さんが見る映画はフードやドリンクが良く売れるらしく、年代が上がるとフードなどの売り上げが減るそうです。

一方で舞台は、収益の中でもチケット代金が占める割合がかなり大きい。

フードやドリンクは無く、主にパンフレットやグッズなどの販売ですし、映画と客層が違うため、フードやドリンクが売れるとも限らない。

(時々ドリンクを販売しているけども、劇場内では飲食禁止が多いです)

なので、客席数の減少が売り上げの減少に直結します。

そのため、席数を半分にして、超ラグジュアリーシートを作るなんていう思い切った施策は、売上を賭けた大博打に近いです。外れるのはやっぱり怖いしね。

一例ですが、ホリエモンミュージカルのように、一つの席の快適さやプレミア感を上げてチケットを高くとる方法もあります。

著名人と歓談タイムがあったり、豪華なディナーが出てきたりしてました。

前置き②.携わる人間の多さと上演回数

収益がチケットがほぼ柱なのに、映画と比べて、上演時に携わる人間が多いのが舞台の特徴

ものすごくざっくりですが、役者、舞台監督、音響、照明、裏方、受付スタッフなどなど。

そのため、公演一回につきかかる人件費はずっと変わりません。

事業で言えば売上に対して変動費が高いパターン。(右上の図)

画像はここからお借りしました。

このため、たとえ公演回数が多くなったとしても、変動費も上がっていくので残っていく利益だけを考えると結構厳しい。

攻めることができなければ知名度は獲得できない

「どんな良い方法も知られなければ意味がない」

冒頭のイオンシネマのアップグレードシートも、映画館に半分しか入れない。どうするか、ならば逆手に取ろう!!といった結果です。

去年に「こういうシート作ります!!」とイオンシネマがプロモしてますし、それが実って、4月にねとらぼさんが取り上げて、yahooにのって僕みたいな人間にも知られるようになった。

「おっ、これなら安心して映画見れるじゃん」

「なんか面白そうなことやってるし行ってみるか」

みたいな層が出てきたら成功ですし、僕だってちょっと行ってみたい。

これが「前後左右一席だけ空けていこう」じゃ話題にならなかったと思います。

イオンシネマのことなので、ここまで「知られる」ことを計算した企画じゃないかな。

この「知られる」って思っている以上に遥かに重要な要素です。

 

「いいものを作ったら売れる」と言う人が多くいますが、そのいいものをどうやって知るのか。

世界一美味しいパン屋が誰も来ない山の上で開業しても、誰も知らずにひっそりと店を畳むことになります。

そんなときに「人が来ないならもっとおいしいパンを作ろう」と突き進むのはもはや修行僧です。

そしてパンならまだしも、売ってるのは異国の伝統料理、チューヘモヘモみたいな感じ。(チューヘモヘモが本当にあったらすいません)

それを食べて欲しいなら、ビラを配ったり、店舗をもっと街中に移動したり、口コミをお願いしたり、看板を出したりすることが必要です。

とはいえ、今の世の中は情報の氾濫で同じことをやっても知られることがめちゃくちゃ大変になりました。

情報量は100年で大体150倍に。そしてネットだけでも20年で6000倍になってます。

つまり「看板出そう」と思ったらすでに6000店の看板が並んでいる状態で自分のところを選んでもらわなくちゃいけない。

そうなってくると、守りよりも色んな施策をバンバン出す攻めの姿勢が重要になっていくわけです。

それには、実は「舞台」「作品」という既存のカテゴリから脱却しなければいけないのかなと思っています。

 

そして、今回のこのイオンシネマさんは

「鬼滅みたいなすっごい映画できたよ」

とか

「すっごい監督に作ってもらったよ」

ではないアプローチなんですよね。

昔から寝たまま見る映画とかやってましたけどね。

 

そういう発想の劇場なんかが出てきてもいいのかなと僕は思います。

 

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