スタッフ竹森です。
今日は、演劇人口を調べてみるのと、演劇を体験するには、どこに行って何をすればいいかというお話。
その1、演劇を経験したことがある人口を考えてみる
小中学生の演劇体験とは
大抵の人は、人生で、一度は演劇に触れたことがあるのかなと。
例えば、学芸会などなど。
個人的に、学芸会で演劇が楽しかった思い出はあんまりないなぁ・・・。
「竹森君は、とりあえず村人Aね!!」
みたいな雑っぽさで役が決まった気がします。
めちゃくちゃ受け身!!
なので、演劇を経験して、「演劇ってめちゃくちゃ楽しい!!」ってなる機会って、もしかしてかなり少ない・・・?。
ちなみに村人Aは、出番来るまでぼーっと待ってました。
演劇との接点が少なすぎる問題
「そんな経験は演劇じゃない!!」と怒られそうなので、除くと、日本って演劇(舞台)との接点がめちゃくちゃ少ない!!
授業の科目でもないので、学生時代に舞台に立つのって、演劇部の人くらいかも。
そして社会人になったら時間的にも、なかなか新しいことに挑戦しづらい。
その状態で演劇を経験するには、劇団所属とか、俳優を目指すとか、ワークショップに参加とか、そういう機会でもないと「演劇との接点」はほぼないのが実情です。悲しい・・・。
演劇をやっている(やっていた)人口ってどれくらいいるんだろう?予測
じゃあ演劇を経験した人達ってどれくらいいるのか、ちょっと調べてみました。
とはいえ、「演劇経験がある」みたいなデータは中々ないので、観劇人口から推測します。
「劇を見に行く=演劇を知っている」という想定で考えると、ざっくり、観劇人口>演劇人口なのかなと。
ちなみにここ1年に観劇した人(25歳以上)はこんな感じ
社会生活基本調査から25歳以上演芸・演劇・舞踏鑑賞人口のランキング。この1年間にテレビ・スマートフォン・パソコンなどは除く演芸・演劇・舞踊鑑賞をした25歳以上の人数を比較している。
全国の25歳以上演芸・演劇・舞踏鑑賞人口は1368万6000人で、25歳以上人口100人あたり13.83人。鑑賞人口が最も多いのは東京都で25歳以上人口100人あたり21.18人
地域差はありますが、観劇人口が、日本の人口の約1割。
となると、演劇経験者って、全国でもめちゃくちゃ少ないのかも・・・。
その2演劇を経験する場所はどこだ!?
演劇の楽しさと鍛えられるスキル
何故こんな話をするかというと、先日、生まれて初めて、しっかり稽古をして、舞台に立つという経験をさせてもらいました。
舞台を観るのは楽しい。でも演じるのはもっと楽しい。
こんなに楽しいものはそうそうないと感動するくらい楽しい経験でした。
面白さを挙げてみると
・日常ではできない感情表現
・舞台に立つ高揚感
・「自分以外の誰か」になる非日常感
・大声を出す楽しさ
と、本来の演劇の楽しさもあれば、
・芝居の技術を磨く楽しさ
・自己が変わる変革の楽しさ
・スキルを獲得する楽しさ
というように、レベルアップの楽しさなど、本当にいっぱいあります。
「演劇の世界」はとにかくめちゃくちゃ奥が深い!!
そして、意外?かもしれませんが、演劇を続けてきた人達は、実はめちゃくちゃ優秀!!
劇作家・演出家の鴻上尚史さんも語ってます。
アマチュアながら俳優をずっと続けてきたので、大きな声が楽に出せます。ちゃんと挨拶することや先輩を立てることにとても敏感です。
なにせ演技は、人間相手の共同作業なので、引きこもったり心を閉じている場合ではないのです。とにかく、相手役の俳優と話し合い、監督や演出家とぶつかり、指示を受け、スタッフとコミュニケイションしながら、役創りと作品創りを続けるしかないのです。まさに、コミュニケイションのスキルが明確に上達するメディアなのです。
結果として、こじれた人間関係の中でちゃんと働ける優秀な人材になります。
ここで比較に出して申し訳ないですが、プロの小説家を目指して10年書き続けてきたとか、美術で生計を立てるために長年絵を描いてきたとか、ずっと楽器の練習をしてきた、という人達に比べて、放り込まれた人間関係の嵐のレベルが違うのです。
そうやって演技を続けてきた人が、どれだけ働き手として求められるか、現場の人ならよく分かると思います。座学だけを続けてきたインテリよりも、現場では何十倍も人間力を発揮するのです。
「高橋一生が『長年の下積み』の末にブレイク」に鴻上尚史が怒り 俳優志望の息子に悩む父親に贈った言葉とは
現場力がついてついて、すごい人材ができるのが演劇!!
メリットの塊のようなのが習いごとです。でも「演劇=習い事」に結びつかない・・・。
何故なら、「演劇を習う=プロを目指す」という意識があるから。
演技レッスンと聞いたら「事務所のレッスンかな」って思いますものね。
演劇はどこで習えばいい?
というわけで、いよいよ本題!!「演劇ってどこで習えばいいの?」というお話。
ざっくりと挙げると、
・ワークショップ型
・養成所型(劇団所属)
・演劇教室型
辺りかなと思います。
ワークショップ形態
イメージとして、教室で円陣になったり、一人の講師に対して、たくさんの生徒がいるタイプかなと思います。
講師が主導になってメソッドを教えるスタイルです。
内容は、演技の方法や技術、講師の考え方や実践方法を教えたりと様々。
一対集団だったり、参加者同士でやったりと、教える方によって内容はたくさん。
短期集中型や回数が決まっているのが多い。
授業の中で何らかのメソッドを獲得するタイプです。
料金はまちまち。
単発だと、無料~5,000円くらいまでが多い印象。
10,000円を超えるのは、基本的には何度も通うワークショップ位でした。
演劇のお試しには持ってこいかもしれません。
養成所形態(劇団所属)
俳優養成所は、基本的に、劇団や事務所などに付随して、プロになるために様々なレッスンを受ける場所。
一例だと
・腹式呼吸
・発声方法
・歌
・殺陣
・演技指導
・ダンス
・日舞
などなど、プロに必要なものを叩き込まれる場所だそうです。
入所するのにオーディションや面接があるのが特徴。
きっちり時間割まで決まっているところも少なくない。
角間さんが昔の養成所について教えてくれました。
養成所はね、プロになりたい人が通うんだ。そして入るのにはオーディションや面接などが必ずある。
養成所にもよると思うけど、僕は舞台に必要なもの、声楽やバレエ、発声方法などをたたきこまれた。
プロになって、即戦力として使えるように、たたき上げるのが養成所だよね。だから、プロを目指す方が通う場所だよね。
ちなみに料金は、入所金+授業料。
一例として、東映俳優養成所で
入所金180,000円
授業料(3ヵ月分)48,000円
くらいのお値段。流石プロ向け!!ということでまとまったお金が必要かも。
演劇教室形態
シナリオクラブでおなじみの形態で、他の習い事と同じように、クラブに所属して、会費を払ってレッスンを受けます。目的はプロ志望のレッスンから趣味で演劇を習う方など様々。
授業内容と日程が決まっていて、そこに通うコースが多く、調べてみると、シナリオクラブみたいに、「クラスも時間も自由!!」みたいなのはほとんどない。
そして料金は、10,000円~30,000円と教室によってまちまちです。
演劇教室の場合は、趣味やプロといったものではなく、技術や表現の方法などが学べて、「演劇を習い事として学ぶ」という点では一番近いのかなと思います。
趣味で習う演劇は自由に楽しめる
以前、カメラを止めるな!の市原洋さんが、とても大事なことを語ってくれました。
「役者や芝居を趣味でやること」って浸透してなくて、「役者をやるからには、プロ」というようなのが、世の中一般的なのかなと思います。
でもスポーツや絵画などでも、プロ以外に、趣味で楽しむ人たちがいるわけじゃないですか。
「芝居が好きで、趣味でやる」というのが、もっとあっていいんじゃないかなって思っていたので、こういう形でやっているのを見て「いいな」って思いました。
読み合わせをやっているうちに、参加者の方も「もっと読みたい」っていう気持ちが出てきたと思うんです。やっていくと、ガーってやるのが気持ちよくなるときがあるので、それを楽しんでくれたらいいなって思います。僕もやってて面白かったです。
今回のイベントは、「オーディションに勝つため」とか「監督の目に止まるため」とか、「自分がやりたいものと、相手が求めているものを考えながらやる」のではなく、「本当に自分のやりたいように、好きにやったなぁ!」って思いました!
もし、同じように、参加された皆さんが、楽しいな!と思ってくれたのであれば、とても意味がある会だったと思います。
プロを目指すと、やっぱり相手に求められる芝居や、オーディションで受かるための芝居をすることになります。
それはそれで、顧客目線という意味では良いのかもしれません。
永江一石先生もおっしゃってます。
アマチュアとプロのスタンスの違い。プロというのはそれで金を稼ぐ人。アマチュアはそうでない人です。いつも言ってますが、プロとアマチュアの違いは
プロは客のため、アマチュアは自分のためにやる
ということですよね。
音楽でも映画でもスポーツでも、プロは客を喜ばせるためにやるが、アマチュアはあくまで自分のため。
一方で、趣味の範囲での演劇があってもいいと思います。オーディションや、受けがいい演技を考えずに自分の好きなような演劇をやれる場所がこの世にあってもいい。
そして演劇に触れて、真の楽しさに目覚めたときにプロを目指してもいい。
そのための演劇を精一杯楽しむ。
「演劇をもっと気軽に楽しみ、感動しながら、心も体も元気になる場をつくろう」
これがシナリオクラブのコンセプトであり、原点だなと思います。