スタッフの竹森です。「イソップの思うツボ」についてのお話
公開前に、「意見が分かれる作品だ」みたいな書き込みを見た気がします。
上田監督自身も、#イソップ賛否の賛、#イソップ賛否の否というタグを使って、賛否両方の評価を受け入れようとしています!!
#イソップの賛否の賛#イソップの賛否の否
このタグ作ったひとつのきっかけがあって。ある人は「うちのTLでは評判良い!」って言ってて、ある人は「うちのTLでは悪い評判しかない!」って言ってて、別のTLに生きてる人通しが、考え方違う人の意見をひょいって覗きにいけたらいいなって思ったんです。— 上田慎一郎 (@shin0407) August 17, 2019
TL上では、賛があったり否があったりと、評価の差が激しい。
でも僕は、こういう作品面白くて好きです。
かつてのカメ止めが、ネタバレせずに楽しんでほしいので、「何の情報も得ずに劇場にチケットだけ買って見に行ってこい!!」という、衝撃的なおすすめ方法だったらしい。
一方で、イソップの思うツボも同じように「何も情報を入れないで見に行ってほしい作品」です。というか、何を言ってもネタバレになってしまう。
特徴としては、エンタメよりもメッセージ性が強く、難解なストーリーです。
序盤の伏線は、物語後半に次々と回収してくれるのですが、展開の流れがかなり速くて、ちょっと置いてけぼりに。一息つくパートがもうちょっとほしかった。
「イソップの思うツボ」
カメ止め的分かり易さやエンタメ展開を求めた人には不向き。家族愛や人生の再生がメインの物語で、どんでん返しはそのための要素。ヨーロッパ映画や単館系が好きな人には届き易いし、人物の気持ちを台詞で理解したい人には不向き。最後のシーンにメッセージ全てが詰まってた
— こいわいん (@koiwine) August 16, 2019
ただ、「カメ止めクリエイターが作ったから、カメ止めみたいなもの」を期待して見にいくのはちょっと違う。
上田監督が言っているように、カメ止めに影響されている要素があるものの、これはこれで別の作品だと思ったほうがいいです。
僕は、怒涛の展開によって、感情がジェットコースターのように振り回されはしましたが、それを踏まえて、二回目を見に行きたいし、
一回目と二回目で、作品の評価がかわるようなものだと思っています。
あらすじ
”家族”の仲は良いが、友達は亀だけの内気な女子高生、亀田美羽。
大人気”タレント家族”の娘で、恋愛体質の女子大生、兎草早織。
”復讐代行屋父娘”の娘として、その日暮らしの生活を送る戌井小柚。
三人の少女が出会うとき、最高の奇跡が起こる――。
話題になった予告編。
今見ると、予告が全く嘘をついていないことに驚きます。
しかし、どのような展開になるかは全然予想できなかった!!
予告込みで「騙されるな」がキャッチコピーですね
トリプル監督作『イソップの思うツボ』僕単独の監督作ではなく上田、浅沼、中泉、三人の共同監督作で、三人とも好みもタイプも全く違うのでカメ止めの色になるわけがないんです。「カメ止めクリエイターが作った、カメ止めとは全く毛色の異なる面白さを持った映画!」というの正確な言い方になるかと。
— 上田慎一郎 (@shin0407) July 14, 2019
個人的な評価(ややネタバレあるよ)
ややネタバレに踏み込んだ話をすると、戌井家の掘り下げがちょっとほしかった。
兎と亀は主役みたいなものなのに、戌がやや置いてけぼり感があったのがなんとも。
おそらくは、狂言回し的なポジションだと思いますが、いかんせん、「イソップ童話の兎と亀の話に、空気に近い戌」みたいな扱いになってしまっているのが残念。
しかし一方でエンタメを皮肉っているようなシーンは最初は驚いたけど、好きです。
イソップの思うツボ、確かにビターな読後感な作品。一番驚いたのは母親のアレ。確かにもう一度観たくなる。分かって見ると色々と気づけるポイントが仕組まれてそう。それと普段エンタメとして映画をただ観ている観客へ向けた皮肉にも感じられたシーンもあって色々と考えさせられた #イソップの思うツボ
— ことぶき (@kotobuki96) August 16, 2019
最後に
さて、賛否両論であるイソップの思うツボですが、冒頭で言ったように、上田監督の「#イソップの賛否の否」「#イソップの賛否の賛」といった感想のタグが流れているのですが、このタグを作ったのが上田監督で、こういうことができるというのは、すごいなぁ・・・。
普通、自分の作品のネガティブな評価って聞きたくないと思います。
でも、きちんと自分の糧にしようとしている。
これを見て、藤子・F・不二雄先生の「エスパー魔美」で、芸術家のパパが、作品を批評されたときのセリフを思い出しました。
パパ「公表された作品については、見る人全部が自由に批評する権利を持つ。どんなにこきおろされても、妨げることはできないんだ。
それが嫌なら、誰にも見せないことだ。」
「剣鋭介に批評の権利があれば、ぼくにだっておこる権利がある!!あいつは貶した! ぼくは怒った! それでこの一件はおしまい!!」
この話は、エスパー魔美のパパが確固たる信念をもって芸術に臨んでいる器の大きさを表した回。
同じように、上田監督をはじめ、3監督が、この作品の賛否の両方を受け入れて、糧にしていこうとしていくのが本当にすごいです。
だからこそ、賛否あれど、多くの方が作品を観に行ってくれたらいいなと思っています。
そうすることで、また次なる作品が生まれるスパイラルが出来上がると思っています!!
そして、やっぱり大きかった、カメ止めの重圧。
上田監督 (重圧は)想像以上でした。「カメ止め」の取材を受けている時に「次回作のプレッシャーはないんですか?」と聞かれて「そんなに、ない」って言っていたんですけど…いざ、向かってみたら、急にきましたね。「イソップ-」の製作は、まさに「カメ止め」ムーブメントのピークだったので、プレッシャーを感じている暇もなく、いつまでに脚本を書いて、撮影に入るという感じでバババババッと終わっていったんですけど…1回、腰を落ち着けちゃった分、プレッシャーが大挙して押し寄せてきましたね。
イソップが、忙しさの中でできた作品であり、次のスペシャルアクターズが重圧と戦った作品なら、一人のファンとして、両方見に行きたい!!
余談ですが、メインキャスト以外を見てみると・・・・
ちょっとニヤリとできるかもしれません。