会員さんインタビュー。演じる楽しさについて。

新年あけましておめでとうございます!

中の人こと、竹森です。

最近は色々なブログを書いていますが、新年一つ目のブログは、原点に戻ります。

今日の話は、「演じる楽しさについて」二人の会員さんに聞いてみた話。

・演じる楽しさ「台本編」、Aさんの場合


Aさんは、元々演劇の未経験者。でもシナリオクラブに来られてから、すごく楽しく台本を読み続けてます。台本を通じて演じる楽しさはどのあたりにあります?


物語を一つずつコツコツと読んで、より深い世界に入っていくのが私にとって楽しいです。一つの登場人物を突き詰めて風景、背景、歴史などを見ていくことですね。楽しいので、今では毎日、家に帰ってから台本を読んでいます。毎日読むと表現の仕方や、人物の情景が、少しずつ自分の中に入り込んでいくんです。


毎日はすごい・・・


台本を読む前に、気持ちを作ってスッと物語の世界に入っていくのがなんともいえなくて。そうやって本を開くことで、情景が浮かんで、世界の中に入り込むんです。やっているうちにおぼろげだった情景が少しずつ鮮明になっていって、「ああ、台本の中の彼はこういう世界を感じていたんだ」って楽しくなるんです。

そのため、一回で読み終わるんじゃなくて、何度も読みながら、セリフ一つ一つをかみしめるんです。

終わった後、「彼は、こんな感じだったのかしら、彼女はこんな感じだったのかしら」と考えて台本に書いていくんです。だから本が真っ黒になります。(笑)

そしてわからないことがあれば、メンターさんに「この人はどういう気持ちなのかしら」って聞いて、想像していきます。その過程がとっても楽しいですよ!


台本を読むというよりも、自分の中で人を作り上げる感覚ですね。


心の中を想像していくと、その人が本当にいるように思えてくるんです。とっても楽しいですよ。

でもそれだけじゃなくって、その人の人生を想像するのがとても楽しいです。でも、こういうことって、一人でやっていくのが難しいのです。


僕も一人で台本読んでた時、「これ正しいの?間違っているの?」っていう迷路にはまったことがあります。


だから、プロの舞台俳優さんの解釈を聞いて、それを参考にして、ちょっとずつ人物が見えてくるんです。

メンターさんが時々、台本の読み方や解釈の方法について難しい方法を教えてくれるのも良いんです。それを乗り越えた時、より物語の深い世界に入っていくことができますから。

私は、舞台のように人前に出て何かを表現することにあまり興味がないんです。

コツコツと登場人物を突き詰めていくことに楽しさがあるんです。

・演じる楽しさ「台本編」

その1、台本を読むのではなく、鮮明な人物像を作り上げて、追体験ができる楽しさがある。

その2、メンターが教えてくれることで、人物像の鮮明さと深みがどんどん増してくる。

・演じる楽しさについて「舞台編」Bさんの場合


Bさんはシナリオクラブの舞台に参加されています。その中で演じる楽しさについてどう思いますか?


自分の中にない役をやることが楽しい。演じた時に満足感があるんです。

特に「やりがいがある役」がいいです。


やりがいっていうのはセリフの多さとかです?もしくはやってみたい役とか?


「やりがい」っていうのは、キーマンだったりする役です。役の大小やセリフの多さとか関係なかったりしますよ。やってみたい役だと、明るい役とかやってみたいです。暗い役とかのほうがハマったりするかもしれませんけど(笑)


暗い役かぁ。台本で暗い役をすると感情移入しすぎたりしないのかなぁ。


たとえば死んじゃう役だと、自己否定ばかりで読んでる間は暗いかもしれないですね。でもそういうのってそれこそ「自分の中に無い」役で実は楽しい。それに台本があると、安心して、セリフ気持ちをのせてぶつけられるんです。そして読み終わったら気持ちは引きずらないんです。


なるほど。でも、「自分の中に無い感情の表現」って言われたら難しくないですか。僕なんかは怒るのがすっごい苦手なので、そういう役がきたらどうしようと思うんです。自分に近い役のほうが表現しやすいなって思ったり。


私は、自分に近い役のほうが辛かったりします。だって自分に似た役を突き詰めると、自分の嫌な面と向き合わなきゃだし(笑)

また、表現で言うと、「泣かなきゃ」と思って泣けないんです。泣くのが目的じゃないから。ちゃんと感情の流れを考えて、つかみとって、その結果が「泣く」ことなんです。


言われてみれば、「怒る」「泣く」のが目的じゃないですね。自分の欠点を役を通して突きつけられるのは辛い・・・


役への入り方は人によって違うと思います。気持ちを作る人もいるし、自分の中から引き出す人もいるし。私は自分以外だったらなんの役でもやってみたいなぁ。

子供のころから気づくと、演劇が好きで。やりたいな~って思っていたし。シナリオクラブは「昔、演劇やっていた人」もいるけど、突然初めてハマる人も結構います。そこで知り合いを誘ってみると「私はいいよ。やらなくて」って人が多いんです。ちょっともったいないなぁって。


確かに。演劇って、美術や音楽と違って、授業みたいな土台が無いですからね。

・演じる楽しさ「舞台編」

その1、自分とは全然違う役を演じることが楽しくて満足感がある。

その2、役を通して、好きに気持ちを発散できる。

・ちょっとした小ネタ「演劇をやることが、なぜ恥ずかしいのか」

台本を読むこと、舞台に立つこと、お二人ともめちゃくちゃ楽しんでいました。

やってみると楽しい演劇。でも「デッサンを習いに行こう」「ピアノを習いにいこう」と違って「演劇を習いに行こう」というとなぜかハードルが高くなります。一つは、気軽に習いにいく場所が少ないというのもあるのですが、もう一つ、演劇について恥ずかしいと思うのは何故か、講演会で平田オリザさんが語ってくれたのを覚えています。

 

平田オリザさん「日本の音楽や美術、図工には、学校教育での下地があります。でも演劇にはその下地がないんです。だから演劇をやろうというと照れがあります。」

「なぜ学校教育に入らなかったかと言うと、いくつか理由があります。学校教育制度は明治期にできたのですが、その当時に演劇があまりなかったというのがあります。」

「もう一つは軍隊に関係があります。音楽は士気向上に役に立ち、美術は図形や図面を引く時に役に立つのですが、演劇は習っても軍隊が強くならない。そういう理由があったんです。」

「戦後の学制改革がチャンスだったんですが、戦後の反体制運動と演劇が結びついていたので難しかったのです。」

演劇に対して、なんとなく抵抗感があるのにはこういう理由があったそうです。

でも、シナリオクラブで、舞台に立った方が、舞台の魔力に引き込まれるのを観てきました。

2019年になったことだし、「私はいいや、ちょっと恥ずかしいし」から脱却して、演劇に挑戦してみるのはどうでしょうか。

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