なんでも応用できる「人間観察」の方法をプロの舞台俳優に聞いてみた。

皆さん、人間観察してますか?

どうもスタッフの竹森です。今回は会員さんからいただいた話題です。

「役作りのため、人間観察したほうがいいと、メンターさんから言われます。でも街行く人を人間観察すると、どうしてもじっと見てしまいます。どうすれば自然な人間観察ができますか」

役作りには、切っても切り離せない(と勝手に僕が思っている)人間観察。

皆さん、観察がとても上手で、じっと見る事はしないそうです。

プロの舞台俳優はどのように人間観察しているのかをインタビューしてみました!お話を聞くのは、いつもお世話になっている皆さんです。

チーフメンター清家さん

チーフメンター 清家 栄一

メンター羽子田さん

メンター 羽子田 洋子

メンター角間さん

メンター 角間 進


というわけで、人間観察ってどうやって行ってるんですか?


そうだね。例えば、おじいさんの役が決まってたりしたとき、頭の中でおおまかな人物像を想像しています。そんな時に街中を歩くと、似た人物が目に入ってくるんです。でも、ベンチに座ったりとか、とどまって人間観察ってまず行わないんですよ。町でパッと見て、「へぇ・・・」って思いながら見る感じですね。町は観察するのにうってつけですからね


てっきりベンチに座って「人間観察するぞー!!」という感じだと思ってました!!


いやいや、じっと見るようなことはしないですね。ぱっと横目で見て観察。それを何人も行って一つの像を作り上げていくんですよ。

蜷川さんはよく「人を研究しろ」っていってましたから、目的があって観察しています。観察した上で「この人はどういう人生を歩んできたんだろうか」をすごく考えますね。また、見る時も、歩き方など、具体的な動き方やその人が持つ雰囲気を見たりします。

街中で、ちょっと特徴がある人なんかはついつい目で追っちゃいますよ。


目で追うってことは、通り過ぎた後、じっと見たりするんですか?
そういえば、僕達と話しているときでも、「よくわかったな」ってことがありますもの。


そうそう。通り過ぎたあと気になったら、後ろ姿を見たりね。日々観察することって俳優の職業病なんです。相手と話している時でも雰囲気や動作などを含めた全体を観察しちゃうから、「ああこの人、今こんな状態なんだろうな」って気づきますね。相手の体調変化などもよくわかります。

・羽子田さんの場合


私は人を観察するとき、喫茶店や山手線に座ってじっくり見ますね。

あと、街中で舞台の役のイメージに近い人が見たら、振り返って見ちゃう。


ええ!喫茶店でじっくりとか、気づかれたりしないんですか?


私が見る相手って、「自分のことに没頭」している人が多いんですよ。そういう人って素が出るんです。例えば、スマホいじるのに夢中だったり、本を読むのに夢中だったり、何かしていたり。

そういう人って、案外周りをみていなくて気づかれないですね。そういうところを邪魔しないように見ています。逆に周りを気にしている人はあまり観察しないですね。素が出てないことが多いので。

あとは、変わった人がいたら見るかな。でも清家さんと同じで、職業柄、普段から結構見てるんですよね。


どんなところを見てるんです?


雰囲気や、動作を含めて全体的に見ますよ。癖だったり、歩き方だったり。癖っていうのは、その人が持つ特徴みたいなものですね。歩き方、動作だったり、なんだか目につくものってあるんですよ。そこを観察して、ああこんな風に動くんだって。

また、実際に気になる人は話してみたりします。


話すのはハードル高いですね・・・


私の場合、話すことが得意だから、時々話しかけたりすることもありますよ。知らない人でも。実際話してみたりするといい人だったりね。


これは真似できない・・・・

・メンター角間さんの場合


人間観察って実はあんまり意識して行ったことがないんですよ。


え、人間観察しないんですか!?


人間観察はしてたけど、勉強は主に映画とか舞台で先輩が行った演技からかな。先輩を見てこういう演技をしているんだって。一方、町で人間観察するときは、類型的な人物にならないように観察していますよ。

類型的というのは、例えばおじいさんなんかだと、「腰が曲がっている」とかいうテンプレート的な表現です。でも「みんなそうか?」ってなるわけです。腰が曲がってない人だってたくさんいるでしょう。

そういうものから脱却するには、町で見た人が活きてくるわけです。


映画から観察っていうのはいいですね。どれだけ見ても怒られない。ちなみにどういう所を見るんですか?


手足、歩きかた、動作などです。街中で観察する時は、ほかの人と違った時にちらっと見ながら観察しますね。

例えば、今の時代、電車でみんなスマホいじっているでしょ。そんな中で本読んでいる人がいたら「お、違うな」って思うでしょう。

そういったものが「他とは違った」と感じるものを観察しますよ。そういう人って「面白いなぁ」って思うことするときがあるんですよ。

そして観察した相手のことを「何をしていたんだろう」「今日は何をしにいくんだろう」「どんな人生を送ってきたんだろう」ってじっくり考えることが役作りの一つなのかなと思います。

・まとめ

メンターさんから聞いた人間観察の方法のまとめ

1.場所は街中や電車の中や喫茶店。
2.移動中はちらっと横目で見ながら観察。
3.没頭している人は観察されても結構気づかれない。
4.映画や舞台でじっくりと観察。
5.動作、歩き方など全体を観察
6.特徴がある人は、特徴を観察。
7.観察した人の背景をものすごく考える。

などなど。

映画や舞台で上手な人の演技を見るというのは盲点でした。人間観察って、町でしなきゃいけないみたいな固定概念がありましたからね・・・そして、メンターさん、ご飯食べたり、話しながら結構観察しているんですよね。全然気づかなかった!!そして重要なのが、

7.観察した人の背景をものすごく考える。

正確にその人物のすべてを追えるわけではないけども、バックグラウンドを考えることが、リアルな肉付けにつながっていくそうです。

ちなみに、コピーライター養成講座に通ってた時、実は同じことを松下武史先生から言われたことがあります。

(松下武史先生 「ある日、日経は顔に出る。」などをはじめ、様々な分野で広告を手掛けているすごいお方。)

松下先生も人間観察からリアルな人物の肉付けを行ってコピーを書いているそうで、「電車でスマホいじるよりよっぽど面白い」と言ってました。そう考えると人間観察って、役作りだけでなく、企業でいう「顧客視点」や「ペルソナ」と言われるものにも応用できるんじゃないかなと。

というわけで、僕も電車や移動中など、色々なところで人間観察を始めてみます!!

スタッフブログに戻る