スタッフの竹森です。
最近、コントの記事とか演劇のルーツなど色々とリサーチをしてました。その中で出てくる演劇の大きな流れ、悲劇と喜劇。この二つは関係が深いと言われてます。
アリストテレスの規定では、悲劇は優れた者を描く(再現する)のに対して、喜劇は劣った者を描く(再現する)ものだという
悲劇や喜劇は演劇のルーツとして古代ギリシャから存在していたそうです。
パルテノン神殿が健在だった時代からずっと。
さて、今日は、そんな壮大な前振りと、あまり関係ない超個人的な疑問です。
笑わせる芝居、泣かせる芝居、
どっちが難しいのか!?
「古代ギリシャの前振りは何だったのよ!?」というくらい関係ない話なんですが、気になっちゃったんです。古代ギリシャから始まる喜劇や悲劇の壮大な話を聞きながら。
(ところで笑わせる芝居と泣かせる芝居、どっちが難しいんだろうか。めちゃくちゃ気になる・・・)と
ちなみにtwitterのアンケートでも聞いてみると、
笑わせる芝居、泣かせる芝居、
どっちが難しいんだろうと、ふと思ってアンケートを作ってみました。
そしてプロの方にも聞いてみる!!— 竹森 裕哉@シナリオ中の人 (@h_takemori) 2018年10月16日
やっぱり、笑わせるほうが難しいらしい。というわけで、僕の意見は置いといて、早速みなさんに聞いてみました。
・舞台俳優、清家さんの意見
どちらが難しいかというと、笑わせるほうがテクニックいりますよ。笑いって、台本だけじゃなくて、「間」をどう使うかっていうものもありますからね。
間って、台本に書いてないこともあるんですよ。その書いてないものを、会場の空気を読みながら、うまいこと使って笑わせたりとかいろんなパターンがある。そういう意味でお笑い芸人は、ものすごい人たちなんですよ。トップの人たちって芝居もできるし、小説かけるし、映画も撮れるわけだし。北野武さんが言ってましたよ。「こんなになんでもやれるのはお笑い芸人くらいだ」って。
一方で泣ける芝居は会場の空気を読まなくても、話の力と、役者のパワーでなんとかなることもありますよね。
笑う芝居は滑稽なことを大真面目にやってて笑わせます。
この違いは、泣ける芝居は舞台で泣いていると観客も引き込まれて泣くけど、笑う芝居は、舞台の人が笑ったら観ている側は冷めるよね。そこが難しいところです。
・メンターで舞台俳優、角間さんの意見
どっちも難しいと思うけど、笑わせる芝居のほうが難しいと思うよ。笑わせるってセンスが必要で「間」がいかにうまく取れるかなんだよね。「間」をうまく取れる人が才能がある人で、渥美清さん、三木のり平さん、伊東四朗さんは素晴らしいよね。もちろん言葉自体で笑わせることもあるかもしれない。でも僕が出た舞台でも「ここ絶対笑いますから」というシーンで、やってみたら一切笑わなかったということはあるよ。
一方で泣かせる芝居だけど、極端な話、名優は一言で泣かせられる。松本幸四郎さんはそうだよね。「これで泣けるの?」っていうくらい短いセリフの中で、一言の重さ、一言の感情をしっかり出して泣かせてくる。笑わせる芝居と泣かせる芝居はこの違いがあると思うね・・・
・多摩美術大学 名誉教授 福島先生の意見
笑わせる芝居と泣かせる芝居だと、笑わせる芝居のほうが数倍難しいかもしれません。日本の喜劇を観ると、ちょっと真面目過ぎるなって印象を受けることがあります。泣かせる芝居は当事者同士の演技で完結しててもいいんです。
でも、笑わせる芝居は観客と呼吸をしながら行うんですよ。海外だと、台本があるんですが、まるで台本がない即興のように演じるんです。それはアドリブを入れたりするわけではなく、ちゃんと台本通りに進みます。でも、毎日違う客席の空気を読みながら、時として、観客とお芝居しているような雰囲気を出したりします。
たとえば、パリのモリエール作品の上演などはみんな笑い転げてます。モリエールはパリの皆さんにとって常識のような作品なので、皆さんが「くるぞ、くるぞ」と待ち構えているセリフがあるんですよ。そこで期待通りに笑わせると、もう拍手喝采です。
そういった観客との阿吽の呼吸を考えず、台本に忠実で形式的に行うと、笑いが起きないので、ものすごく難しいんです。そこが笑わせることの難しさかなと思います。
わかったこと
プロのみなさんの意見は、twitterでの結果と同じく、全員一致で笑わせる芝居のほうが難しいそうです。
・笑わせる芝居は観客との対話が必須
・笑いの「間」を意識することが必要
・笑いの「間」にはセンスが必要
・お笑い芸人はすごい集団
そして、以前、さまぁーずの皆さんが来た時、「笑いの引き出し方」がめちゃくちゃうまかったのを覚えています。
さまーずさんは、ただ、台本読むだけじゃなく、上手に即興で笑いを作り上げるという、とんでもなく高度なことやってました。
モヤモヤさまぁ~ずの番組に出た時、会員の皆さん、メンター清家さん、スタッフのみんなってすごく真剣で真面目にやっていましたし、緊張もしていました。でもその真剣さを生かしつつ、緊張もほぐしながら、限られた撮影時間の中で、ちゃんと面白さを作り上げて、自然な笑いにもっていくんですよね。
瞬時に場の空気を読み、即興で対応する技術の高さが、笑える芝居と、お笑い芸人のすごさに通じるものがあるのかなと思います。