劇団青年座第233回公演、「ぼたん雪が舞うとき」、楽日に行ってきました。
この物語は、2011年の東日本大震災による原発事故がモチーフで、立入禁止区域に取り残された夫婦の、7日間を描いた、二人芝居でした。
重い題材ですし、二人芝居でどうやって表現していくのかが、私の中での注目ポイントでした。
芝居をそれほど観に行かない私にとって、舞台の世界、作り出された目の前の現実へ、ヒューって入って行って、非日常を自由に垣間見れる空間で、どんなメッセージを発信したか、チャーミングなキャラクターが登場してくるか、どんな仕草をするのか、どうしてその行動なのか、人間の行動パターンの良い勉強になります。人物のチャーミングさが際立っていれば、より感動します。他には、衣装・小道具・舞台のセットや色使い・配色も見どころです。舞台美術のかっこよさや、美しさは注目ポイントです。
今回の「ぼたん雪が舞うとき」はシリアスな問題を扱ってはいましたが、夫婦が本当にチャーミングでした。
とても大きな事故が起きてしまった事実と、自宅避難している夫婦。この二つの対比がとても激しく心を動かされました。
少しずつ食糧が無くなっていく中、思い出を語り合う二人。見ていて涙が出そうになりました。
開演待ちの雰囲気は、青年座公演の「真っ赤なUFO」と似ていて、昭和なレトロな感じが、懐かしくて、本当に好きです。
私個人の見どころとして、1個1個の小道具がすごく気になり、本当は舞台の上に上がって行って、触ってみたい衝動に駆られます。
今回も、舞台のセットの箪笥の中には、きっと、夫婦それぞれの洋服がしまってあるのだろう。舞台で登場しなかったかもしれない小物たちが、セットの中にいる事を考えると、キューンとしてしまいます。芝居の中で登場するお父さんのジャケットは、お父さんのお気に入り。桐箱に入っている、おばあちゃんの帯揚げは、嫁入り道具で、桐箱に入ってこそ、思い出の品だったことがひしひしと伝わってきました。
一つ一つにストーリーがあり、闇雲に選んだものではない、その辺の1個ではない、計らいがある事を思いめぐらすと、ズッキューンです。
私個人としては、ぜひぜひ、舞台美術ツアーを、どなたか、企画してほしいと切に願います。楽日の公演後限定で、「舞台美術ツアー御一行様」と仮定し、セットで使われた、小道具・衣装・大道具を説明付きで案内してもらった後、撮影会・舞台美術を許容範囲内で触ることができたら・・・勝手な妄想ごっこでした!