みなさんこんにちは!!スタッフの竹森です。
10月28日、シナリオクラブ大舞台「酷暑のつめあと」が無事終了しました。本当に出演した皆さん、ものすごい熱演で、舞台袖から笑ったり、泣いたりしていました!!僕も裏方として携わっていたのですが、本当にこの公演に携われてよかった!
ここからの話は、僕の個人的な裏方の話です。個人的な主観が入りまくってます。
舞台は大変だよ 裏方編
裏方の役割って色々あるんですが、今回の僕の役割って、雑用をしたり、雑用したりと、照明と音響を除いた雑用みたいなポジションでした。あとカメラちょっぴり。
前回の照明ブログ
この時は照明にかかりっきりだったんですが、今回は裏方+カメラ。カメラは大丈夫。すでに何年も撮りまくってるからばっちりだぜ!でも裏方がわからない。なんか色々するらしい。でも色々ってのが正直よくわからない。「色々って言われたけど何すればいいんだろうか」みたいな感じで当日を迎える。
僕の、のほほんとした感覚では
(裏方といっても、まあなんとかなるっしょ。)
と思っていた。相変わらず見通しが甘い自分。そういうとこやぞ!自分!!
本番前
三日前は朝の搬入が9時~だったけど、僕は渋滞で9時半に到着。着いたらすでに搬入がほとんど終わってて、持ってきた残りの荷物だけ搬入してセッティング。午後からリハスタート。
午前中は、小道具をセッティングしたり、動線確認したり、舞台を養生したりと結構色々な作業へ。でもそんなに大変じゃない。ご飯食べてお茶飲んでたからね。
本当に忙しいのは午後から。リハーサルスタートして、ハードスケジュール到来。
・ちょい役+黒子+通行人
今回の「酷暑のつめあと」では
・舞台にちょい役で参加
・裏方として参加
・カメラマンとして参加
この三つで参加!舞台に出たり、客席に行ったり、楽屋に出たり!特に「舞台にちょい役」+「裏方」で奇跡のマッチングする場面があったけど、これが中々のハード。
- 舞台にちょい役で出る。
- 着替えて黒子になる。
- 10秒で着替えて通行人になる。
多分人生で一番早く着替えたんじゃないかなと思った。
1.のちょい役から黒子までは5分ほど空くので、ここの着替えは大丈夫。でも2.の黒子から3.の通行人までの時間が大体1分。黒子に着替えて撤収するものが「ビニールシート」「重量物」「泥」など、きっちり集めて撤収するものばかり。
役者さんが作中で、ばらまいた化粧品と泥と、10キロの土嚢。これを約30秒で撤収。半端ない。
その撤収作業中に、次の役者が、別の入口から1分かけて向かって来ます。役者が舞台に到着したら「通行人の僕」の出番。きっかけとなる「通行人の僕」が出てこなかったら終了。芝居が止まります。
通行人なのに役割がめちゃくちゃ重要!!
大荷物抱えて黒子で撤収から通行人としての登場まで、大体30秒くらい。しかも撤収する方向は下手(客席から見て舞台左側)登場する方向は上手(客席から見て舞台右側)。真逆です本番中だから、舞台裏で音を立てず死ぬ気の競歩で急ぐ。そして5秒で着替える。
死ぬ気でやればできる。人間は可能性の塊だ。
撤収後、黒子から30秒で着替えて登場する僕(一番右)
「大変なら黒子役を別の人に任せてもいいんじゃないか」
という話もあったけど、「撤収し損ねる危険」と「通行人Aが出てこない危険」を考えてみた。多分前者のほうが危ない。
「こりゃ誰かに任せらんねえ!!」って思ったので全力で撤収の責任を受け持とうと思った。実際やったら、めちゃくちゃ忙しい。一度も遅れなかったのは自分でも驚いてる。
一回だけ、上着が裏表逆で出ていったけど、なんとかごまかせたと思う!!
飯田くんに助けられる。
声優だけど、毎回大舞台を手伝ってくれる飯田くん。いつも見えないところで活躍してるけど、近くに居るとほんと心強い!撤収の時、お手伝いの飯田くんが毎回見せる超ファインプレー!
「大丈夫。この撤収物は、袖まで行ったら僕に任せてください。竹森さんは安心して通行人役に行っててください!!」
総重量10キロを超える荷物を抱えながら、颯爽と去っていく飯田くん。あれだけバラバラになっていた荷物を、全部きれいにまとめてくれる飯田くん。
「ここは任せてください!」
とめちゃくちゃ忙しいのに笑顔で言う飯田くん。ありがとう飯田くん。本当に格好良かった。きみの笑顔は忘れないよ!!
・役目が終わったらカメラマン
「酷暑のつめあと」では、小道具のやりとりは役者さん同士で成り立っている。なので自分のピークである撤収と通行人が終わったら、裏方での作業は安全確保や動線確保がメイン。僕はカメラマンとして参加。
ここら辺は毎年やっているところなので、「慣れたものですよ。」とドヤ顔をしたかったけど、あるよね。懸念事項。
・マイカメラが修理中!!
カメラって、よくcannon派、Nikon派の二大派閥で戦っている。(※個人の主観です)そんな中、僕の愛用カメラ機器はcannonなのである。
大破したcannonのカメラレンズ・・・
cannonは現在修理中。今回使っているのは代用のNikon!!
操作方法がほとんどわからん!!これを見ている方に説明すると、cannonとNikonは同じカメラと思いきや、操作方法はiPhoneとandroidくらい違う。
まず操作方法から「どうやるんだっけか・・・」と悩み、設定に四苦八苦している中、舞台では刻々とベストショットが過ぎていく。焦れば焦るほど設定がうまくいかなくなる!やばい!
SF映画とかで、よくわからん宇宙船を「動けぇぇぇ!!」って操作する人の気持ちってこんな感じだろう。わかる。すごくわかる。今度から優しい気持ちでそういうシーンが見れる!できた!!設定完了!!これで綺麗に撮れる!!
「はい、暗転します」(※真っ暗になること)
現実は非常である。
舞台は仕事人で出来ている。
リハーサルの合間では、役者さんがいない間に舞台の養生の確認や、小道具の整理整頓だったり、忘れ物、変なものが落ちてないかの確認。あとはビニールシートの開き方とか舞台の泥とか、用意に失敗すると大幅なロスになってしまうものについて、手順の再確認。意外と雑用って結構色々なことをやります。何でも屋さん。
休めるときに休むけど、まとまった休憩がとれるわけではなく、気づいたらご飯食べるの忘れてて、夜になってたりする。
我々の公演は一日限りだけど、本職の裏方さんは何日も何十日もこんな感じなのだろうか。「裏方さんは凄い人達の集団なのだろう」すごく尊敬した。今度「舞台の裏方で仕事してます」って人に会ったら、お辞儀すると思う。照明さん、音響さん、他のスタッフもみんな同じ。華やかな舞台の裏には、色々な人がものすごく頑張っている。僕は、舞台に携わる裏方の仕事人魂を見た。多くの人が本気で頑張っていて、舞台という華やかな世界が出来上がっているのをめちゃくちゃ痛感した。
そして裏方を取り仕切っている青柳さん。
この三日間、あんまり休憩しているところを見ない青柳さん。
これまでの過去9回の公演、ほぼ青柳さんが取り仕切っていたのを考えると、改めて凄さを思い知る。照明と音響のタイミングを計りながら、裏方や撤収作業や段取りの取り仕切りを、一人で行ってたとか正直、絶対に真似できない。
縁の下の力持ちというのは、こんなに身近にいたのだ。
・本番で重大なミス
三日目の本番中、僕は致命的なミスをやってしまう。
何を勘違いしたか、僕は下げる予定がなかった作品の中で最も重要な大道具である「ちゃぶ台」を下げてしまった。
作品内でも象徴的な道具として扱われているちゃぶ台。
裏方として、普段行わない段取りを僕がやってしまったがために起きた、紛れもない大事故である。
やった瞬間「終わった・・・」と本気で思った。周りのスタッフも「ああ~っ・・・・」ってなった。絶対に存在しなきゃならない「ちゃぶ台」が、そこに無いわけで、ちゃぶ台が無いと、料理とかお茶とか直置きなわけで。
「さっきまで食卓で食べてたのに」「引越しかよ」「ちゃぶ台どこいったん?」
どう解釈しても不自然。料理とか運ばれてきたら、尚更ざわついてしまう。しかも「ちゃぶ台」だから、さりげなく戻すとか絶対に無理。どう考えても詰んだ。リハーサルまで順調にやってきたのに、「僕は、よりによって本番でのミスをやってしまった・・・・」と茫然自失になった。
舞台は止まらない。舞台は撮り直せない。ちゃぶ台が存在しない舞台は、何もかも終わって、灰色に見えた・・・
その時だった。本番中の裏に、音を立てず駆け込む演出の清家さん。
「何ページの〇〇にタイミングがある!!このタイミングで、さりげなくアドリブ入れながら、運んできたことにしましょう」
「ここで運んでくることで話がつながる!!」
裏で役者さん達が演出の清家さんと、すぐに台本を読み込む。舞台に出演する役者さんが裏に来た時に即座に指示を伝える。時間にして1分程度。
役者さんは台本に無いセリフをうまく組み込みながら、一つの演出のようにさりげなく、本当にさりげなく、ちゃぶ台を舞台に戻す。
仕事人だった。その背中は紛れもなく仕事人だった。
僕がやってしまった大ミスを、即座に演出を変えて、流れを戻す清家さん。その演出に緊急で対応する役者さん。
「カメ止め」の世界だった。
現実は、時としてフィクションよりも驚くことが起きる。そして、それに立ち向かう仕事人たちがいる。
舞台の仕事人は、裏方だけじゃない、役者さんだって仕事人だ。
なんかキャッチコピーっぽくなったけど、本気でそう思った。
最終章 皆さんお疲れ様でした
ってことで、無事「酷暑のつめあと」裏方として公演を終えました。
大トラブルをやらかしたのは事実なので、せめて皆さんに感謝したい。そして裏方の皆さん、役者の皆さん、本当にすごいしカッコよかった。舞台というのは、表はとても綺麗で作りこまれた世界観があるけども、裏では、水面下の白鳥のように、全力で水をかいているようなものでした。
そして裏方を初めてやった感想は、
「あの素晴らしい舞台、あの素晴らしい世界観を全力で応援したい。そのために何でもやる」
三日間、ほとんど休憩せず、東京タワーを上下に駆けまわったくらい動いて、色々な方に迷惑をかけて、謝っていたけど、心の底からそう思いました。この三日間の大舞台に携われてよかった。本当によかった。そして出演した側として、これを伝えたい。
舞台に出るって超楽しい!!
みんな、なんて面白いことをやっているんだ!!
一人の人間を掘り下げて、舞台という世界観で表現する。なんて贅沢なんだ・・・。
今回は、僕の舞台裏ばかりになりましたが、次の本編「酷暑のつめあと」のブログでは、出演者の舞台について、しっかりと感動巨編を書きたいと思っています。
最後に声を大にして言いたいことが一つ
みんな。 舞台はいいぞ!!