正月から危機感を煽ってしまいますが、僕の師匠でもある永江さんのブログによる、人口減少の話。
これ、日本の超高齢化社会の果てに、人口減少が起きて危機が訪れる話です。
2010年から2035年に減るのは1650万人!!!!
あと15年で神奈川と千葉県合わせたくらい。いや、九州(1320万3,965人)と四国(375万6千人)合わせたくらいの日本人が日本から消失するんですよ。いなくなるのは高齢者だが、だからといって高齢者比率は下がらない。それどころか子供が少ないのでめちゃくちゃ高齢者率は上がって3割を軽く超える。今の日本から九州と四国合わせた人間がいなくなったら、日本はやっていけると思います?
1 需要が急激に縮小してさらにもの余りのデフレ
2 労働人口がとくに田舎はいなくなる
3 税収が減って国の財政四苦八苦。サービス低下4 現役の減少と高齢者急増で社会保険が破綻
5 日本の国力低下で円安が進む → 輸入食料が暴騰?とまあ、普通に考えるだけでこれくらいは誰でも浮かぶのに、そもそも
これから人口が減る実感を誰も持っていない
産業に壊滅的な打撃を与える人口減少。
こちらは、永江さんの年末にめちゃバズった記事。
国土交通省のサイトのグラフ見たって酷いのが分かる。
2040年には若年層が明らかに細くなり、逆に上部の高齢者層がめちゃでかくなります。つまり原爆のキノコ雲みたいな様相になります。根本はどんどん細くなり、しだいに枯れるわけです。これが日本の未来です。
これらって、演劇にもダイレクトに影響を与えます。
でも、具体的に何がどうなるのかはわかりにくい。
というわけで、「人口減少が2.5次元や四季以外の演劇にどんな影響を与えるのか」を調べてみました。
その1、観劇人口がめちゃくちゃ減る。
2018年の日本芸術文化振興会の鑑賞行動データから
鑑賞行動が60台で減り始め、70代でガクンと落ちる。80代はものすごく少ない。
この原因は一言でいうと、「体の衰え」です。
身体の衰えとともに
・劇場の椅子に長時間座れなくなってくる
・劇場の非バリアフリーが大変になってくる
・劇場まで行くのが大変になってくる。
となるわけですが、2035年には、1,650万人が日本からいなくなってしまう。そして永江先生が言っているように、高齢者比率は変わらない。
つまり、観劇に来れる人たちがごっそりいなくなる。
15年間の人口減少は、ただ観客が減るだけじゃない。
現在の観劇人口は、40代や50代が中心です。
それが15年経ってしまったら、55~65歳。
メイン顧客層が見事に「体の不調で劇場が辛くなってきた」という年齢に入るわけです。ヤバイ。
ちなみに業界の方に聞いた話では中規模の劇場が観客動員できなくてバタバタつぶれていっているらしい。
その2、演劇に立つ側も少なくなる。
一方で観客どころか、舞台に立つ俳優さんも年齢も上がってくるわけです。
演者の年齢が上がると何が起きるか。できる舞台が段々と少なくなってくる。
また現在の舞台公演のチケットの売り方は、演者さんの知り合いやファンを呼ぶことが多い。
年齢が高い演者さんの知り合いはやっぱり年齢が高い人になりがち。
そうなってくると、演じる側の年齢の上昇は大きな問題になってくる。
そして、厳しいのが観劇人口と演劇人口(演劇をする側)のダブルパンチの減少です。
このダブルパンチを食らってしまうと、演劇市場そのものが衰退してしまう・・・。
その3、地方がメタメタになる
この人口減少ですが、地方と東京での温度差がかなりある。
東京は人口が集中しているため、高齢化は感じていても、人口減少は感じにくい。何故なら田舎から出てくる人が多いから。
Twitterの拾いものですが、首都圏に一極集中する図。
東大の友人がデータかき集めて作成した
日本の都市の人口推移(1873-2015)
です面白え…
近年の首都圏の人口集中エグすぎる…
日本大丈夫かよ… pic.twitter.com/sKa532j3Td— ムギタロー ポエトリーラップ東大生 1stアルバム発売中 (@mugitaro_comics) December 5, 2019
ランク外になっている都市は、逆にどんどん人口が減っている。
となると、劇団が活動するには「東京が必須」みたいな条件が出てきてしまいます。
そして首都圏に拠点を移さないと活動ができなくなる可能性もあるわけです・・・。
何故2.5次元や四季などを除くのか
さて、上記でさらっと触れていましたが、2.5次元と四季などはこの絶望的な未来を迎えるわけではない。
なぜなら、それらは若者の取り込みに成功しているから。
前年比45%増。成長を続ける2.5次元ミュージカル市場/ぴあ総研が調査結果を公表
2018年は、「ミュージカル『テニスの王子様』」、「ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー‼」」、そして「刀剣乱舞-ONLINE-」を原案とした舞台化作品などの人気タイトルに加え、宝塚歌劇宙組公演「ミュージカル・オリエント『天(そら)は赤い河のほとり』」、宝塚歌劇花組公演「ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』」、明治座・梅田芸術劇場・博多座で上演された「魔界転生」、新橋演舞場・大阪松竹座で上演された「浪漫活劇『るろうに剣心』」、といった大劇場での公演もあり、公演回数は前年比35.1%増3,695回、動員数は前年比24.7%増の278万人へといずれも大幅に増加しました。 タイトル数も197本と前年より26本増え、その中には多くの新作が含まれています。
15年後に超高齢化社会と人口減少の煽りを食ったとしても、今20歳の人は15年後に35歳
圧倒的に元気です。さらに若年層に「演劇ってどれを指す?」って聞いたら、2.5次元かミュージカルの事を指すと思います。
2.5次元はそれくらい演劇の中心になっているんじゃないかなと思います。
一方で、2.5次元劇団が、すべて大きな箱で公演しているかというと、そうでもない。
チャージマン研!!なんかは新宿FACE(最大600人くらいの中規模の箱)で行っていますし、ステージというより、リング設営でしたからね。
それでも全日キャンセル待ちに長蛇の列が出るくらいの大成功でした。
もちろん、ビジネスとアートの世界を一緒にしてはいけないと思う。
しかし、舞台は空気のように消えてしまうものであり、アートと考えても絵画みたいなものとはまた違った世界です。
その一瞬でしか残らないと、評価されづらい。
ゴッホが死後評価されているのは、絵という残り続けるものがあるからです。
この辺りを本当にどうにかすべきなんだろうなぁと思ってしまいます。
最後に永江先生からの金言です。
全ての事象は人口減少から始まることを意識する
これ、とっても大事です。中略
ビジネスをはじめるにしても、「これから急速に人口が減る」ということを認識してはじめるのと、まったく知らないではじめるのでは全然違うでしょう。就職も転職も同じです。公共サービスも交通網も、今までとは同じようには維持できません。
ここ、本当に大切なんだろうなぁ。